第21話 Day10 Treatment(治療)

Day10 夜3時半 ちょいすぎ 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


”がとがとがと”


暫くは屋根から音がする

そして


”ガリガリガリガリ”


爪を研いでいる音もする


がそれらを無視して風呂場へ

ポータブル電源はボイラーにつないだままだからお湯が出る

薬だなからプリオキサイドを取り出し

お湯で傷を洗い プリオキサイドをしみこませバンドエイドを

強引に貼り付け包帯で巻いて止める


ガレージに行くとシロ蛇が1匹の角ウサギの喉に噛みついている


男   :「Don’t Move(そのままで)」


下にゴミ袋を敷き そのままナイフで腹を裂いて内臓を出す

そして蛇から角ウサギを取り上げ 皮を剥いで肉に切れ目を入れ蛇の前に置く


”ガリガリガリガリ”

 

相変わらず音がする 

まだ外に何匹いるかわからない

グローブを付けゴミ袋に焦げた角ウサギ共を入れ

二回の窓から庭と裏庭に焦げた死体を放り投げる


仲間の焼死体を見てか

またはアサヒが昇るころになったかは定かではないが

暫くしてから爪研ぎの音は聞こえなくなった


竹の網を燃やしたため暖炉近くのタイルにすすが付いている

ファイアーガードにも燃えカスが付いている

電動ブラシで後で洗わなければなー そんな事を考えていたが

下を見ると血の跡がある

そしてそれはガレージに続いている

見てみるとコヨーテの1匹の横腹から内臓が見える

角ウサギの爪は凄い脅威だ! ここまでの切れ味とは

ガレージからタオルと取り、風呂場からプリオキサイド

タオルを水で濡らし、ベッドルームから針と糸を取ってくる

そして水で濡らしたタオルをねじり それをコヨーテの口に咥えさせる

残りの2匹のコヨーテが来れないようにドアを閉め

リビングのソファーに傷ついたコヨーテを抱えて座る


本来ならアルコールを与えたい所なんだが犬系にアルコールは毒なんだよな

悪いが痛みに耐えてくれ


プリオキサイドを出来るだけ内臓にかからないように傷口にあてがう

思いっきり口に入れたタオルを噛みながらこっちに目を向けてくる


目を切らさないで見返しながら


男   :「We need to do this, I know it's hurt(痛いのは分かるがやらなければ)」


暫くしてコヨーテは諦めたかのように虚無を見つめる

数回プリオキサイドを傷にあてがった後

針と糸で傷口を縫っていく

内臓や骨が見えないんだったら絆創膏や包帯で良かったんだが


これは縫わないとダメだ!


ただ 男は傷口を縫った事が無い

針に糸を通し右側そして左側を縫うが傷口が塞がってない

上側にも針を通し反対側にも針を通すが内臓が見えたまま

皮と皮を押して内臓を見えなくしてから糸の両端を引っ張り

そして ぐるぐる 強引に巻いていく

見栄えは悪いが内臓が見えなくなる

それを繰り返していく

コヨーテの目からは涙が流れていく

それでも繰り返し繰り返しやっていく


***30分後***

明らかに不格好な傷口と縫い痕

ただ内臓は見えない


男   :「。。。。。。。。。。。。。。。。。」


コヨーテの足の可動範囲を見てみる

足を動かしてみると傷口に届く

足で傷口の糸を引っかいて また内臓が見えても困る

仕方がないので傷口を包帯で巻いて

更にコヨーテの後ろ脚をベルトで束ねる


地下室からエナジードリンクを取り出す

カフェインが少ないやつ

それを半分ほど飲み

残りを水で薄める

その半分に栄養剤を砕いた物をかき混ぜ

包帯でまかれたコヨーテの口からタオルを取り出し

コップの中を少しづつ飲ませていく

気が付いたら全部 飲んでいた

ウサギの肉を食べさせようとしたらイヤイヤしたので

粉ミルクを水で戻したものを持って行く

それもゆっくり舐めるようにして飲んでいった

ドアを開け段ボールの寝床につ入れていく

残り2匹は ぎゃんぎゃん 鳴いていたので生肉をあげる


出来るだけの事はやった

獣医の経験なんてない

死んだら死んだで仕方がない

ただ死んだら仇をとってやる

昼になるまでは休む予定だ

そして今日の昼 あいつらを終わらせてやる

そして男はソファーで仮眠を取る



***3時間後***

シャベルと手斧を持って庭へ

外に投げた焼けた角ウサギの死体

回収できそうな角は回収し 残りは森の東側に穴を掘って埋める

途中 シロ蛇と傷を負っていないコヨーテ2匹が咥えて来たのは

皮を剥いで内臓と肉を切り分けて食べさせる


庭と裏庭の死骸をかたずけ終わり 真昼になるまで休む

昼少し前に起き上がり 東の森の木を何本も切り倒した場所へ

枝を集める



***昼***

コヨーテ2匹を携え裏庭から落とし穴の場所までソリを引っ張って進んでいく

ソリには大量の枝、新聞紙、糸、と 安物のワイン


男はコヨーテに名前を付けていた

家に残した傷痕のあるコヨーテはそのままScarスカー

今連れて歩いている2匹の内 にこやかなのがUbuウブー

これはアメリカ人なら聞いた事のあるSit Ubu Sit Good Dogから来ている

そして少し黒がかっている3匹目はDonahueドナヒュー


途中で先に行きそうな時に

男   :「Ubu and Donahue STAY (ウブー ドナヒュー 止まれ!!)」


と大きく声をかける  

それを繰り返していく

少しずつ理解しているっぽい



コヨーテは男をパックリーダーと認識していた

そして2番目の序列はシロ蛇

必ずシロ蛇に最初に餌をやり その後コヨーテ達だからだ

また男にじゃれつくのはいいが 甘噛みは スゥ――と注意づけられていた

その為 男い対して噛みつきは絶対にしてはいけないと認識している

そのコヨーテが動くなと言われたので男の様子を座ってみている


男はまずシャベルで軽く巣の周りに大きな円を描くように2重にほりっている

そして掘り出した土を円の外側へ

堀 草 堀 盛った土 それで数多くの巣穴を囲っている

そして 堀と堀の間にある草に火をつけ軽く燃やしている

これは公園のボランティア活動でやったコントロール燃焼バーニング制御の容量でやっていく

アメリカの自然がある数マイルの公園 年に数回ボランティア活動を募集している

それはそうだ パークレンジャーだけでは公園は余りにも広すぎる

そして嵐や風で倒れた材木等を 山火事で火が広がらないようにする為

集めて燃やす作業 そのような作業はボランティアを募って行われている


一通り周りを燃やし終わったら 

角ウサギが住んでいるであろう穴の 後ろ側の穴をシャベルで埋めていく

そして前側の穴の前に

新聞紙に包んだ大量の枝を糸で縛り それぞれの穴に突っ込んでいく

安物のワインを開け 一口飲んでから 枝にかけ

新聞紙を突っ込み 火をつけそれを巣の場所へ投げ込む

この行動をそれぞれの巣穴に繰り返していく


次の瞬間、巣の場所が瞬く間に燃え上がる

それと同時に周りの草も燃え始める

そしてウサギの鳴き声が聞こえてくる


”キュー キュー ギュー”


火は巣の周りをどんどん燃やしていく

ただ予め燃やしていた巣の周りと 掘った掘りで残りの草原まで火の手は伸びない


幾つかのウサギは煙でいぶされ

幾つかのウサは火で焼かれる

それでも後ろの埋められた穴をひたすら掘って逃げ出すのが出てくる


”ダンダン ダン ダン”


男のショットガンを火を噴く

そして


男   :「GO!! (行け!!)」


新聞紙にまかれた燃え盛る枝を押し出し数匹が出てくる

2匹のコヨーテはその角ウサギに対応する事を瞬時に理解する

そして男の掛け声が聞こえた瞬間 火と煙から逃げた角ウサギを追いかけ始める


”ダン ダン ダン”

”ぎゅあ ぎょあ”

”がるるー”

”メラメラメラ”


散弾銃、角ウサギの叫び、 コヨーテの角ウサギを仕留める音、草原の焼ける音


それらが聞こえなくなるのに10分も必要なかった


***7分後***

まず 焦げた角ウサギ等をシャベルで埋める

次に コヨーテの歯型が付いた角ウサギはマーキングをする

これは まだ子供だとしてもこの世界のコヨーテは毒を持っている

その為 コヨーテ専用の餌となる為だ

次に男とシロ蛇用の食べられる角ウサギと仕分ける

少し先に大きな壁のような崖がある

行ってみたい気もするが 大量の収穫があった

まずはこれらをどうにかしないとな

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