第20話 Day9 Uninvited Visitors(招かねざる客)

Day9 夕方7時半 ちょいすぎ 

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地上で仕留めた角ウサギの血抜きをし

内臓と肉をシロ蛇とコヨーテに与え

皮を剥いで 肉は電源の入っていない冷蔵庫と電源の入っている冷凍庫へ

明日にでもプレッシャーキャナーで肉のビン詰めでも作るか

肉や野菜を瓶に詰め それを圧力缶詰機 圧力釜みたいな物

プレッシャーキャナーにいれて圧力を加えれば

数年間保存が効く

だたフリーズドライの野菜が有る為 男は野菜の瓶詰めを作らなかった

凄く後悔している でも仕方がない

そんな事を考えながら 今日の勝利に酔いしれていた


ただ 男は忘れていた いや考えもしなかった

もともと男はアメリカに居た頃 ウサギをハンティング対象にしていなかった

だから仕方がないと言えば仕方がない

元来 夜行性で有ったウサギは自分の身を守るために薄明薄暮性になったいた

そして角と爪と数で敵を凌駕するようになってからは本来の夜行性になっている

そう 異世界の角ウサギが活発になるのは夜から朝日が昇る間である事を


風呂に入り体を洗い

腕のケアを丹念にし

ウィスキーの水割りを飲み干し

いざベッドに入ろうとしたら


”グルルルル ワン ワン ワンワン ワン”


そして3匹のコヨーテが叫び始める


なんだなんだ? 


そう思いながら1階に行きリビングとガレージのランタンをつける

とぐろを巻いたシロ蛇がガレージのドアを見ている


男   :「Something out there (外に何かいるんだな?)

      something out there right?(外に何かいるんだろ?)」



急いでガンセーフからショットガンとライフル

玄関の棚からDEを取り出しベルトを着ける


”ガリガリガリガリ”


聞き覚えのある爪を研いでいる音


”ガリガリガリガリ”

”ガリガリガリガリ”

”ガリガリガリガリ”


家の端の3か所から聞こえてくる

急いで弾丸の確認 コッキングを終わらせ

安全装置をつけてライフルを肩に

手にはショットガン

腰にはイーグル


まず状況を知る為2階へ

窓からガレージのドアの反対側を見ると赤い目が複数ガレージのドアの前に

2階のゲストルームから南側を見てみると

数十匹いる

月の光によってかわからないが 赤い目の2つの光が無数にある

何匹かは柵で爪とぎ

何匹かはひたすら走り回っている


安全装置を外し ショットガンを放つ


”ダン ダン ダン”

”ぎょあ”


当たってはいるはず  

全弾撃ち尽くさないでリロードを始める

これ ライフルだと無理だ

大体の場所で攻撃の出来るショットガンじゃないと多分 当たらないだろう


”ダン ダン ダン”


逃げたか別の場所にいったか分からないが赤い目が南側からいなくなる


男   :「。。。。。。」


ポータブル電源と懐中電灯をガレージに取りに行く

そしてランタンと電灯ポールライト 明かりという明かりをつけていく

最悪 ジェネレーターで家の全部の明かりをつける事も考慮する

が それはまだだ

2階から懐中電灯で庭を照らす

井戸にだけは当たらないようにしたい

畑とガレージのコンクリ、庭の柵にあたっても仕方がないと思っている


”ダン ダン ダン”

”ぎゅあ”


庭側のウサギもある程度仕留めていく

次の瞬間 


”がとがとがと”


1階の屋根部分にあがってきている


ガラスをわって入られては困る

とりあえず 向こうからこっちは見られないように

急いで2階の部屋の窓のブラインドとカーテンを閉める

割って入られたなら仕方がない

万が一 入られたとしても時間が稼げるであろう


”きーーーー”


爪でガラスを引っかく音がする

そして自分で引っかいて自分で逃げ出したのか

即その音がやむ


”がとがとがと”


数匹が2階の屋根に上がった音


次の瞬間


”ドタドタドタ”

”グルルルル” ”はーーーはーーー” ”わんわん わん”

”ぎゅあ”


下からコヨーテたちが戦っている? 音がする

即1階のリビングへ

ランタンとポールライトで照らされているリビング


男   :「FUCK FUCK FUCK FUCK(畜生 畜生 畜生 畜生)」


暖炉の通気口から入ってきやがった!

誰も望んでいない季節外れのサンクロース

その角ウサギを1匹 コヨーテが首筋を噛んでいる


そして角ウサギ2匹がコヨーテ2匹と対峙している


”ドタドタドタ”


さらに3匹が暖炉に落ちてくる


数の有利が 一気に角ウサギ側に!

そして1匹がコヨーテに飛び掛かるが それを避け首筋に噛みつく

もう1匹がコヨーテに飛び掛かる

その下を走り後ろからウサギの頭の後ろに噛みつく


暖炉に落おちた3匹の内1匹が体制を整えコヨーテに向かって飛びつく

リビングに置いてあったバットでとっさに打ちのめす

そして暖炉のファイアーガード

男の家の場合は鉄のカーテン型

を急いで閉じる


そしてレバーで煙突の通気口を閉じようとするが反応が無い

何かがハマっていて閉まらない そしてその何かは角ウサギであろう

次の瞬間


”ドタドタドタドタドタ”


どんどん 暖炉に向かって角ウサギが落ちてくる

ガスタイプの暖炉だったら そのまま火を付けられたのだが

まきを使うタイプであった為 それが出来ない


落ちてきた角ウサギの数匹の爪がファイアーガードの鉄のカーテンの

メッシュにハマっている

時間は稼げてるが横に動かされた瞬間、鉄のカーテンが開いてしまう


急いでガレージに行き 竹の網の傘型バリゲードを取り

棒を横に 網を大きく開く


”ドタドタドタドタドタ”


即 リビングでそれを暖炉にあてがう

あてがう前にチラッと見えたが暖炉がシロ色で埋まっていた

両腕でバリゲードを押しながら暖炉

横にあるライターオイルに手を伸ばそうとした時


”じゃり”

激痛が右太ももから伝わってくる


1匹の角ウサギが男の左ももにしがみつき引っかきをした


赤い両目がじっとハンターを見ている

右足の太ももに赤い線が5本  意外と深い そして血が噴き出してくる

そして男の頭は真っ白になった

そして来たのは純粋な怒り


自分の聖域である家に侵入しただけでなく

いい気分の自分の感情を台無しにしただけでなく

折角治りかかった左腕とは別の部分でまた面倒になった

それを平然とやってのけた角ウサギ


よどみのない動作で右手のバリゲードについている棒を左手に

そして男の右手がベアクロ―のように力を入れながら

下に向かって降ろされる


角ウサギに右目は男の親指の爪によって潰され頭蓋骨の中に押し込まれる

そして親指をウサギの目に入れたまま おもむろに頭を鷲掴みにし

腕を上にあげ、思いっきり床に叩きつける

そして裸足で角ウサギの頭を踏みつける

鈍い骨が砕ける音

そしてライターオイルをバリゲードにしみこませ

オイル横のマッチで火をつける


“ぼわっ”


ファイアーガードにあてがっている竹の網

ファイアーガードの中に居る角ウサギの皮

それらが燃え始める

暖炉の周りはタイルである為 

煤はつくだろうが火事にはならない


ひたすら隙間からライターオイルをかけ続ける

瞬時に角ウサギの侵入口である暖炉は焼却炉と変化し

多数の角ウサギが生きながら焼かれる事に

それも暖炉パンパンにいる為逃げることが出来ない

上の方にいる角ウサギは暖炉の通気口を登ろうとするが

あるものは煙で落とされ、あるものは跳躍がたりなく届かず

ギューギューと鳴いていた声も途絶え

家には焦げた毛皮と肉の焼けた匂いが充満した

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