第11話: 内装の整備

 屋根が完成し、家の外観がしっかりと形になった。これで、外からの風雨にも安心できる環境が整ったわけだが、次に取り掛かるのは内部の整備だ。家の中が空っぽでは、せっかくの快適な生活も始まらない。今日は内部を整えて、必要な家具や収納スペースを作り上げる作業に取り掛かろう。


「さて、次は内装か……何が必要になるかな?」


 俺は家の中に入り、まだ何もない広々とした空間を見渡した。広いリビングにはまずテーブルと椅子が必要だ。寝室にはベッド、それから作業用の机や収納棚もあれば便利だろう。必要な家具のリストを頭の中でまとめながら、どの順番で作っていくかを考える。


「この広さだと、何でもできそうだな。シンプルにしておくのが一番か……」


 まずは収納スペースから始めることにした。必要な道具や食材をしまう場所がないと、せっかく作ったものが散らかってしまうし、何より整理整頓ができていないと、生活も落ち着かない。


「よし、まずは収納棚からだな。」


 俺は「瞬間クラフト」のスキルを使って、森の中から集めた木材を材料に、収納棚を作り始めた。このスキルを使えば、必要な形やサイズに木材を瞬時に変形させることができるのだ。通常なら何時間もかかる作業も、スキルのおかげであっという間に仕上がる。


「やっぱり、このスキルは便利すぎるよな……一瞬でこんな立派な棚ができるなんて、現実じゃありえないよ。」


 完成した収納棚は、シンプルながらも堅牢で、木の温もりを感じさせるデザインだ。自分の手で作ったという満足感もありつつ、スキルのおかげで時間をかけずに完成したことが、さらに達成感を感じさせる。


「うん、これなら道具や食材もすっきり片付けられるな。」


 棚をリビングの端に設置し、次はリビング用のテーブルと椅子を作ることにした。こちらも、木材を使ったシンプルなデザインにしよう。リビングは広めにスペースを取ったから、大きめのテーブルを置いても十分な余裕がある。


「テーブルと椅子か……どんなデザインにしようかな?」


 俺は少し考えてから、無駄のないシンプルなデザインを選ぶことにした。実用的で、使い勝手の良さを重視したテーブルと椅子を作る。それもスキルを使えばあっという間だ。


「よし、これでテーブルも完成だ。あとは椅子だな。」


 木材を「瞬間クラフト」で変形させながら、リビング用の椅子を4つ作り上げる。座り心地も考慮しつつ、余計な装飾は省いたシンプルな椅子だ。これでリビングの中心にテーブルと椅子が揃い、食事をしたり、作業をしたりする空間ができあがった。


「シンプルだけど、これで十分だな。使いやすさが一番だし。」


 リビングが整うと、次に取り掛かるのは寝室だ。寝室は、しっかりとしたベッドがあればそれでいい。寝る場所が快適であれば、毎日の疲れも取れて、より良い生活が送れるはずだ。


「ベッドはどうするかな……」


 寝室には大きめのベッドを置くつもりだ。これも木材を使って、シンプルかつ頑丈なデザインにしよう。ベッドは体を休める場所だから、しっかりとした作りにしておきたい。スキルを使って、木材を一瞬で組み立て、ベッドフレームを作り上げる。あとはマットレスをどうするかだが、この異世界にはマットレスのようなものはない。


「マットレスはないけど、柔らかい草や藁を敷いてもいいかもな。」


 俺は森から集めた柔らかい草を使って、ベッドの上に敷き詰める。これで十分に寝心地の良いベッドが完成した。寝室に設置すると、部屋全体が少しずつ整っていくのがわかる。


「これで、いつでもゆっくり休めるな。」


 次に作るのは作業部屋用の机だ。作業部屋は、今後さまざまな道具やアイテムを作るためのスペースになる。だからこそ、広めの机が必要だ。収納スペースも一緒に作っておけば、道具をすぐに取り出せるし、作業が効率よく進むはずだ。


「作業机は広めにして、使いやすくしよう。」


 再びスキルを使って、木材を一瞬で組み立て、広々とした作業机を作り上げる。机の下には引き出しをつけて、道具をしまえるようにした。これで作業も効率よく進むだろう。机を設置すると、作業部屋も整い、いよいよ家全体が生活できる空間として機能し始めた。


「これで必要な家具はほぼ揃ったな……」


 リビング、寝室、作業部屋が整い、家の内部はどんどん快適な空間へと変わっていく。俺は自分が作り上げた住まいを眺めながら、異世界での新しい生活がいよいよ本格的に始まるのを感じていた。


「この家での暮らしが楽しみだな……」


 俺は満足げにリビングに座り、これからのスローライフを思い描く。この異世界で、自分の手で作り上げた家で生活するということが、なんだか現実離れしていて、でも確かにリアルな感覚として胸に響いている。


「これからの毎日が、きっと楽しくなるだろうな……」


 そうつぶやきながら、俺は次の作業に思いを巡らせた。



 ーーーーーーーーーーー

【応援のお願い】


 いつもありがとうございます!

 ☆をいただけると大変助かります。皆さんの応援が大きな力になりますので、ぜひよろしくお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る