第6話: スキル「瞬間クラフト」の発動

「さて、次は家具でも作るか。」


 俺は集めた材料を前に座り込み、手元の木材をじっと見つめた。家の骨組みは「無限素材創出」のおかげであっという間に整った。次は、そこで暮らすための家具や道具を作らなければならない。


「瞬間クラフト……どうやら、これを使えば本当に何でも作れるみたいだな。」


 集めた木材や石を目の前に置き、思い浮かぶのはまずベッドだ。このまま地面に寝るわけにはいかないし、少しでも快適に過ごしたい。


「まずは……ベッドだな。」


 イメージするのは、簡素な木のベッド。脚がしっかりしていて、広々とした横幅で快適な寝心地を確保できるようなもの。普通なら作るのに何時間もかかりそうなベッドだが、俺にはスキルがある。


「よし……集中して……。」


 目を閉じて、頭の中に具体的な形をイメージする。柔らかく滑らかな木の質感、しっかりとしたフレーム、そして心地よいマットレス。全てがイメージの中で鮮明に描かれる。


「瞬間クラフト、発動!」


 その瞬間、目の前に置いていた木材がピカッと光を放ち、まるで魔法のように木材が組み合わさり、あっという間にベッドが出来上がった。瞬く間に木材が形を変え、完璧なベッドが目の前に現れる。


「おお……これはすごいな……。」


 俺は目の前のベッドを見て、思わず声が漏れる。まさに想像していた通りの形で、強度も申し分ない。触ってみると、滑らかな木の感触が心地よく、しっかりとした作りで安定感もある。簡素ながらも、どこか自然の美しさを感じる家具だ。


「こんなに簡単に作れるなんて……。」


 思わず笑みがこぼれた。これは本当に便利だ。普通なら何日もかかる家具作りが、わずか数秒で完成する。これなら、住居をさらに快適な空間にするのも時間の問題だ。


「次は椅子とか、机も作ってみるか。」


 やる気が湧いてきた俺は、再び木材に集中し、今度は椅子やテーブルをイメージする。椅子はしっかりと座れるものを、そしてテーブルは大きめで作業にも食事にも使えるものをイメージして……。


「瞬間クラフト、発動!」


 再び光が木材を包み、瞬く間に椅子とテーブルが出来上がる。ベッドの隣に並べてみると、部屋全体が少しずつ「家」のような雰囲気になってきた。


「いい感じだな……。」


 俺は出来上がったばかりの椅子に腰掛け、机の上に手を置く。木の温かみを感じながら、これが自分の家になっていくんだという実感が湧いてくる。


「次は何を作ろうか……。」


 考えていると、次々と欲しいものが思い浮かんでくる。棚や食器、さらには装飾品なんかも作れるんじゃないかという期待が膨らんできた。スローライフを送るなら、やはり快適な住環境が大事だ。


「よし、どんどん作っていこう!」


 その勢いで、俺は次々と家具や道具を作り出していく。まずは棚を作り、必要な道具を置く場所を確保。次に食器棚を作り、簡単な木の器やカップも瞬時に作成。思い浮かべた物が次々と形になる感覚は、何とも言えない爽快感があった。


「これは……思った以上に面白いな。」


 瞬間クラフトで出来上がる家具は、すべて俺のイメージ通りのものばかりだ。しかも、一つ一つがしっかりとした作りで、使い勝手も良い。こんなに簡単に自分の思い描いたものが作れるなら、この世界での生活がますます楽しくなってくる。


「スローライフって、意外と忙しいもんだな。」


 そう言いながら、俺はさらに新しい道具を作る準備を進めた。異世界での生活はまだ始まったばかりだが、ここでの暮らしは着々と形になりつつある。


 日が暮れ始める頃には、家の中は簡単な家具や道具で整っていた。ベッド、椅子、テーブル、そして棚まで揃い、食器も作成済み。あとは、もう少し装飾や実用的なアイテムを作りながら、さらに快適な生活空間を整えていく予定だ。


「これでひとまず、一段落かな。」


 俺は満足げに家の中を見渡し、再びベッドに腰を下ろした。この異世界に来て、最初はどうなるか不安だったが、スキルのおかげでここまで順調に進めている。


「明日からはもう少しゆっくりできるかな。」


 今日はこれまでの作業で少し疲れた。明日からは、もっとゆったりとこの異世界での生活を楽しみながら、次のステップに進んでいこう。


「よし、今日はここまで。あとはゆっくり休むとしよう。」


 俺はベッドに横たわり、静かに目を閉じた。森の中の静かな夜が、心地よい眠りへと誘ってくれる。



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