第5話: スキル「無限素材創出」の発見
「よし、これでひとまず夜はしのげそうだ。」
簡単なシェルターを作り終え、ひと息ついた俺は、次に周囲の素材をもう少し集めて、家の基礎を整えようと決めた。シェルターはあくまで応急処置みたいなもので、いつまでもそこに住むわけにはいかない。だからこそ、住居をしっかりと作るために、もっとたくさんの材料が必要だ。
「さて……まずは、木材をもう少し集めておくか。」
川のそばにある木々や、その周りに落ちている枝や石を探しながら歩く。森には、見たこともない形の植物が生い茂り、足元には柔らかい苔が広がっている。自然の恵みは豊富で、必要なものはすぐに手に入りそうだ。
「ん? あれは……?」
ふと目に留まったのは、大きな木の根元に広がる奇妙な花だった。青い光を放ちながら、葉の間からほんのりと光を放っている。その見た目は、どこか神秘的で、手を伸ばすと少しひんやりとした感触が伝わってきた。
「これは、ただの花じゃないな……。」
好奇心に駆られて、その花を摘んでみる。すると、手の中に奇妙な感覚が広がり、花が消えると同時に、自分の中にエネルギーが流れ込んでくるような感覚があった。何かが起こった気がしたが、それが何なのかすぐには理解できなかった。
「……何だ、今の?」
不思議に思いながらも、そのまま探索を続ける。もっと木材が欲しいと思い、手元に目をやった瞬間、ふと木の枝が変化し始めた。
「えっ……?」
目の前で、何の前触れもなく、手に持っていた木の枝がどんどん変形していき、しっかりとした木材に変わっていく。その変化はあまりに自然で、まるで俺の意志で素材が変わったかのようだった。
「これは……スキルか?」
何かに気づき、俺はその場に立ち尽くしてしまう。この感覚、どこかで知っている気がする。スキル――そう、これは俺に与えられた「無限素材創出」の力なのかもしれない。
「無限素材創出……。」
俺が軽く呟いたその瞬間、周囲の自然――木や石、草――がふわりと浮かび上がり、それぞれが素材としての形を整え始めた。木の幹が加工された木材に変わり、石が美しい形のまま固められていく。
「……すごい。」
無意識に使ったスキルだが、その効果は思っていた以上に強力だ。森にある素材が次々と整理され、すぐに使える状態になる。
「これなら……家作りがはかどるな。」
俺は手に持った素材をじっと見つめながら、住居作りにこのスキルを活かせることに確信を持った。普通なら、木を切り倒して加工し、何時間もかけて準備しなければならない作業が、たった数秒で完了する。
「よし、もっと材料を集めよう。」
再び森の中を歩き、スキルを意識しながら木材や石を次々と生成していく。次に手を伸ばした木も、スキルの力であっという間に使いやすい形に変わっていく。
「これなら、一人でも家が建てられそうだな。」
元々のスローライフの夢では、のんびりと田舎暮らしをしながら手作業で家を建てるつもりだったけど、異世界では少し話が変わってくるらしい。スキルのおかげで、手間をかけずに住居作りが進んでいく。
「よし、材料はこれで十分だ。」
手に入れた木材や石を抱え、さっそくシェルターの横に置く。次はこの材料を使って、家の枠組みを作る作業だが、その前にもう少しスキルを試してみたくなった。
「瞬間クラフトも……使ってみるか。」
俺は軽く手を差し出し、先ほど集めた材料を前に集中する。すると、頭の中に浮かんだイメージ通りに木材が瞬く間に組み上がり、シンプルな柱と壁が現れる。
「すごいな……本当に一瞬だ。」
見事な柱が建ち、家の形が次第に整っていく。普通ならば何日もかかる作業が、スキルのおかげで数分で完成してしまう。
「これならすぐに住めそうだな。」
俺は嬉しそうに家の周りを歩きながら、まだ見ぬ未来の暮らしに思いを馳せた。この力があれば、俺のスローライフは思いのほか快適なものになるだろう。
「次はもっと複雑な家具も作れるかな?」
笑顔で頷きながら、俺は再びスキルを発動させ、住居作りの次なるステップに進む準備を整えた。この森での生活が、ますます楽しくなりそうだ。
スキルを使い始めたばかりだが、その強力さを感じながら、少しずつ異世界での生活が形になっていくのを実感していた。住居作りはまだ始まったばかりだが、この調子なら問題なく進めていける。
ーーーーーーーーーーー
【応援のお願い】
いつもありがとうございます!
☆をいただけると大変助かります。皆さんの応援が大きな力になりますので、ぜひよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます