第2話: 自然豊かな世界との出会い
「ふぅ……。この川、すごく綺麗だな。」
川の水を手ですくって口に含む。冷たくて、澄んだ味がする。まるで山の湧き水のような清涼感だ。俺はその場にしゃがみ込み、さらに手を水に浸して顔を洗った。ここに来てから、ずっと何かがピンとこない感じがしていたけど、この川に触れてようやく少し落ち着いた気がする。
「……こういう場所で暮らすの、悪くないかもな。」
水面を見つめながら、自然と笑みがこぼれた。確かに、突然異世界に飛ばされた驚きはある。でも、俺が求めていたスローライフって、こういうものだったんだよな。
「エルシルの森、か……いい響きだ。」
頭の中でふと、ここが「エルシルの森」だという感覚が浮かんできた。どうしてだろう、誰かから聞いたわけじゃないのに、自然とその名前が思い浮かぶ。
「ま、細かいことは後で考えるとして……。」
俺は周囲を見渡す。川の近くは穏やかで、木々が程よく茂り、陽の光が差し込む静かな場所だ。鳥たちが歌い、小さな動物たちが時折顔を出す。何もかもがのどかで、まさに理想的な環境だ。
「さて……ここで暮らすには、まずは住む場所だな。」
手元には何もないが、不思議と焦りはない。この森には豊富な資源があるし、俺には無限素材創出と瞬間クラフトのスキルがあるんだ。今はその使い方がぼんやりとしているけど、きっと少しずつ慣れていけば、この世界でも生きていけるはずだ。
「まずは、材料探しかな。」
立ち上がり、川沿いを歩き出す。大きな木々が広がるこの森の中では、木材や石など、住居を作るための材料がたくさん見つかるはずだ。それに、この森には俺が知っている世界にはない植物や資源が隠れているかもしれない。
「お、これは?」
ふと足元に目をやると、珍しい植物が群生している。見たこともない形の葉と、紫色の小さな花が咲いている。慎重に触れてみると、葉の表面がほんのりと光を放っているのに気づいた。
「なんだこれ……。」
好奇心に駆られて手でその葉を摘むと、突然、手の中でほんのり温かくなり始めた。じわりとした感覚が広がり、心地よい力が体を包み込む。なんだか、エネルギーが湧いてくるような感覚だ。
「これ、ただの植物じゃないな……。」
思わずにやりとしてしまう。異世界ならではの資源が、早くも見つかった。この森にはきっと、他にもこんな素晴らしい素材がたくさん眠っているに違いない。
「よし……この植物、使えるかもな。」
そう考えながら、少しだけ摘んでポケットにしまい、さらに奥へと進んでいく。
森の中を歩いていると、徐々に景色が変わっていく。木々の背が高くなり、葉の密度も濃くなってきた。地面には柔らかな苔が広がり、歩くたびに心地よい感触が足に伝わってくる。
「この辺りなら、住む場所としても悪くないな。」
ふと立ち止まり、周囲を観察する。この場所ならば、十分な木材が手に入るし、近くには川もある。リソースは揃っている。今はまだ具体的な計画はないけれど、ここに拠点を築いてもいいかもしれない。
「よし、決まり。」
軽く手を打って、住む場所をここに決めた。まずは簡単なシェルターでも作って、拠点を整えることにしよう。思いのほか早く場所が決まったので、少し安心感が広がっていく。
「でも、何か忘れているような気がするな……。」
ふと考えながら周囲を見渡す。静かすぎるほどの環境に身を置くと、少しだけ不安がよぎる。食料もまだ確保していないし、どうやってこの森で生き延びていくか、もう少し考えないといけないかも。
「まあ、急いで焦ってもしょうがないか。」
自分にそう言い聞かせて、再び歩き出した。今は新しい場所に馴染むことが最優先だ。少しずつ、この世界での生活を築いていけばいい。
「よし、次は食料だな。」
森を探索しながら、食べられる植物や果物を探すことにした。新しい世界での生活が、少しずつ形になっていく。
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