第二の年 第三の季節
春が訪れ、森の木々が新芽を出し、花々が再び咲き誇り始めた頃、ケセフとレーリアもまた、新たな一歩を踏み出し始めた。
2人はようやくしっかりと歩けるようになり、イーサンとローシュの元を離れて、少しずつ外の世界へと自分たちの足で冒険を広げていた。
ケセフは不思議なことに動物たちと深く分かり合える力を持っているようだった。
彼はどこか神秘的な空気を纏っており、森の動物たちに好かれる特別な力があった。
彼が歩くたびに、小さなリスやウサギがその周りに集まり、鳥たちはケセフの頭上で軽やかに舞っていた。
ある日、ケセフがその小さな手で、慎重に鳥の羽を撫でながら、微笑んでこう言った。
「おともだち。」
彼に撫でられている黄色い、尾の長い鳥は、そうだと言わんばかりに高い声で一鳴きした。
ローシュはその様子を見て誇らしげに微笑んだ。
ケセフが自然と共に生きる才能を持っていることが明らかで、彼が将来どのように成長していくのかが楽しみであった。
そのおともだちの命を分けてもらって、生きていくことが出来るのか…といった不安もわずかにあったのだが。
一方、レーリアはまったく違う性質を持っていた。
彼女は自我を持つようになってから少女に強い憧れを抱いているようだった。
少女がどこに行くにも、レーリアはその小さな足で懸命に後ろをついて歩き、何をしているのか興味深げに見つめていた。
まるで少女の一挙手一投足がすべて魔法のように見えるのか、レーリアの瞳には好奇心と僅かに崇拝のようなものが混じっていた。
そうして歩けるようになった今、少女の後をずっと追いかけるようになった。
少女がどこに行くにも、レーリアはその後ろをついて歩き、何をしているのか興味深げに見つめていた。
ある日、少女がふと立ち止まり、後ろを振り返ると、やはりレーリアがじっとその背中を見つめていた。
小さな足音が止まるのと同時に、少女は微笑みながら尋ねた。
「レーリア、どうしてそんなに私の後をついてくるの?」と、
ある日少女が尋ねた。
「いっしょ。きらきらがいっぱい。」と、
レーリアは森の木々や、虫や鳥などを指して、最後に少女をじっと見て真っ直ぐな目で答えた。
その言葉を聞いた少女は、内心で少し驚きを感じた。
あの出産の時の奇跡以降、世界の様々な生き物の中に宿る魂のその輝きがわかるようになっていたのだ。
小さな虫にも、鳥にも、魚にも、獣たちはもちろん、イーサンやローシュ、ケセフとレーリアも例に漏れず、それぞれに異なる輝きを放つ、美しい魂をその内に持っていることが見通せるようになっていた。
もしかして、レーリアにもその光が見えているのではないか——そう思ったのだ。
しかし、それはあまりにも早すぎる考えだろう、少女は頭を振った後、
「そうかい、じゃあ色んなきらきらを見に行こうか。」
そう言うと、レーリアを抱えて高く飛び上がった。
風が二人の間を通り抜け、春の香りが漂ってくる。
木々の葉が陽光を浴びて輝き、鳥たちが軽やかに飛び交っていた。
レーリアは少女の服を、その小さな手でぎゅっと掴みながら、
「すごい。ぴかぴか!きらきら!」
と、はしゃいでいた。
少女は空を飛びながら、心の中で静かに思った。
この子は、きっと特別な何かを持っている。
いつかその輝きが、世界にどんな影響をもたらすのか、それはまだわからないけれど——。
少女は遠くの空を見つめ、春の暖かい風を感じながら、心の中でそっと祈りを捧げた。
「どうか、この子たちの未来に、光が満ち溢れますように——」
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