第21話 夜空の女

 でも、今の私にはもうできない。

 ここに来たって

 もう二度と弟とは会えないと知ってしまったから。

 この空想は叶えられないと分かってしまったから。

 ありえなくて、バカげた空想だと分かって……。

 それでも私はこの公園に来てしまう。

 私は、この夜から明日に進むことができない。

 なんて私は醜いのだろう。弱いのだろう。

 私は、まだこの夜にしがみ付いていたいのだ。

「月は、綺麗ね」

 何もない夜空に向かって言う。

 これは私の罰なんだろうか。

 月を失った夜は、まるで今の私そのものじゃないか。

 その時、私に誰かが話しかけてきた。

「――アナタがいるから綺麗なんです」

 私のすぐ隣に男の人が座っている。

 黄金色にきらめく瞳が、こちらを見ていた。

「それって、どういう意味?」

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