第17話 一人目の客

 ……。

 ……その夜は月が出ていなかった。

 夜空をさえぎる木々の枝葉は

 私が歩くこの狭い道を、より深いやみで覆っていた。

 両端から突き出た、蓬々とした雑草の影からは

 何か、私が最も恐れる恐怖の象徴が這い出してきそうで

 とても不気味だ。

 道すがら、投棄された白の軽トラが見えてくる。

 路肩に突っ込んだまま、不穏な赤錆に侵されている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る