第15話 月よりも輝く少年の夢

「分かってるよ、そんなこと。僕が一番分かってる」

「じゃあ、これからも

 君はそういう小説を書いていくつもりなんだね?」

 月がそう聞くと、公園に静寂が流れ込んできました。

 それにつれて、公園の端から深い夜のやみが……

 深いあきらめが、安らぎの皮をかぶって

 ジリジリと少年のほうへ近付いてきます。

 月はもう一度聞きました。

「君は、本当は何が書きたいの?」

「本当は!」

 少年が大きく声を上げます。

 彼はベンチから立ち上がって、月に向かって言いました。

「やみを照らすような小説が書きたいんだ!

 どんなにありえなくても、バカみたいなことでも

 僕はそこに光を見つけて書いてみたいんだ。

 どんなに悲しい物語でも

 ハッピーエンドになれるって証明したいから!」

 少年の想いは、今夜に浮かぶ月よりも輝いていました。

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