第12話 四人目の客

 少女は、夜空に手をかざして

 彼の涙をぬぐうように

 欠けて細くなってしまった月を撫でました。

「君がうらやましいよ。僕もそこへ行けたら……」

「ふうん。不思議なこと言うんだね」

 そう言って、少女はニッコリと笑います。

 公園をいっぱいに満たしている銀の月光を

 彼女は両手ですくい取り、こう言うのでした。

「アナタは、いつも私たちのそばにいたよ」

 また別の夜がきました。

 とうとう月は、夜空にフワリと浮かぶ

 一本の青白い糸になってしまったのです。

 こんな姿、恥ずかしくて誰にも見られたくありません。

 でも、きまってそういう時は

 どうしても誰かと遭遇してしまうものです。

 今夜の公園には、まだ幼い少年が来ました。

 水玉のパジャマのまんまでしたから

 眠れなくて、ベッドを抜け出してきたのでしょう。

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