第9話 三人目の客

 今夜の公園には

 サロペットを着た、甘栗色の髪の少女が来ました。

 ひょうたん型の大きなケースを背負っています。

 彼女はチョコンとベンチへ座り

 少しだけあたりを見回してから

 まるで小さな猫を抱きかかえるように

 優しい手つきでケースを膝のうえに乗せました。

 ケースの中にあったのは

 あの髪と似た色をしたアコースティック・ギター。

 少女はそれを大事そうに取り上げると

 やがて、誰もいない公園で演奏を始めました。

 寝かしつけるように弦を弾く人です。

 郷愁を感じさせる、暖かくて儚い音がします。

 そうしていると

 ギターと一緒に、彼女もまた歌い始めるのでした。

 月はその歌声に耳を澄ませます。

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