報告
ポーランドの西部にあるポズナンで僕は牧野さんと合流していた。
「お疲れ様です。そちらは問題なく終わりましたか?」
「あぁ、君よりもはるかに範囲が少ないからね。君の方こそ問題なかったかい?もう欧州のほとんどは君が解放したと言ってもいいだろう?」
「僕ですから。これくらいは当然です。多数との戦いで僕は負ける気がしませんよ」
多数と多数の戦いなら負けないという絶対の自信がある。
一人でダンジョンを体現している僕のことを舐めないで欲しい。
「それと、イタリア政府……いや、EUって今もありますか?」
「EUかい?いや、あそこの組織はまだあるはずだけど……一応の形だけだけどね。そのEUがどうかしたのかい?」
「いえ、連絡してほしいことがありまして」
「……連絡?」
「イタリアにあった人理教の本拠地を襲撃し、無事に制圧しました。かなり手荒な真似をしたので、中にあるものはほとんど駄目になっているかもしれないですけど、それでも、少しは役に立つこともあるかもしれません」
「待て待てっ!?人理教、人理教と言ったかい!?」
「はい。人理教です……牧野さんもご存知ですか?」
「いや……そんなに詳しくはないけどね。最低限のことならわかっている。むしろ、君の方こそ知っているのかい?欧州の組織であるそれは日本での知名度はかなり低いと思っていたのだけど」
「前に戦ったことがありましたので。それに、今回も戦いましたので」
「……うぅん、本拠地。本拠地か、どれくらいの規模だったんだい?……いや、イタリア?もしや……」
「かなりの規模でしたよ?地下にあった巨大なアジトで、数多多くの機械に培養槽などがありましたね。巨大な発電所もありましたね。原発でしたっけ?ダンジョンとは一切関係ない技術による発電所などもありましたよ。あれはあまり触れない方が良いと聞いたので、完全に隔離しましたね」
「んんっ?それ、本当に……EUの方が探していた本拠地なのではぁ……」
「だから言っているじゃないですか。ちゃんと戦闘になった戦闘員の一人をボコボコにして奪った記憶を元に辿り当てた組織の位置ですから。間違いではないと思いますよ?そこそこ自信があります」
「待って?君はどれだけのことをこの間にしていたの……???」
僕が牧野さんに人理教についての話をしていた頃。
「「んっ?」」
急に僕と牧野さんが持っていたスマホがけたたましく鳴り響いたのだった。
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