イタリアへ
自分が首を刎ね飛ばした少女。
「胸糞悪い結末になったんだけど……」
その少女はそのまま、その体を灰へと変えていった。
僕の前には今、こんもりと積もった灰だけが残されていた。
「はぁー」
このまま、というのは忍びないだろう。
灰なんて軽く一つの風が吹くだけで消えていなくなっちゃうだろうしね。
「キリスト教なのかね?……いやぁ、わからないなぁ」
少女の宗教が何かも分からない中で勝手に祈るのもダメだ。
特に僕はあくまで日本でしか浸透していない神道の神主だ。この少女が神道を信じているはずもない。
少女がヨーロッパ人らしくキリスト教だったとしても、ここで僕が祈れるようなものでもない。
僕はとりあえず、残された灰を拾い上げ、散り散りになってしまわないように一つの箱に入れるだけでおしまいにする。
「遺族をフランス政府が見つけられるといいんだけど」
少女の灰が入った箱を一体の魔物の体の中に仕舞い、僕は整理したこの場に散らかっていた書類たちもすべて回収していく。
「そろそろ僕の魔物もドイツに入るからね」
僕がこんなことをしている間にも、フランス全土にいた魔物はこちらが召喚した者たちによって、そのほとんどが駆除されており、続々とドイツにまで侵攻している。
同時並行的にスイスやイタリア、バルカンにも進出していっており、そろそろ僕も前線に戻らなきゃいけない。
隊を分けたことで数の強みが薄れてきているからね。
強力な魔物にはしっかりと僕も対応しないと。
「行きますか」
そろそろ、東欧の方から動き出している牧野さんとも合流できるような頃合いだろうしね。
向こうも順調に東欧にいる魔物を駆逐出来ているという報告を受けている。
「うーん……次はどこに行こうかなぁ。ドイツ。いや、そこよりもイタリアの方が行きたいかなぁ」
イタリアと言えば、世界で一番世界遺産の多い国。
まともに国が動いていない中、観光するならやっぱ見るだけで満足できるようなものが多いイタリアの方が良いかな。
何となく、ドイツにはビールの祭典のイメージがあるし。
ドイツに行くなら、その祭典がやっているときに行きたい。
「ローマ行きたいなぁ……ローマにどれくらい歴史的建造物が残っているだろうか?ちゃんと、観光楽しめるかな?」
僕はこの研究所を後にし、イタリアの方に向かって行くのだった。
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