第五章 世界
世界へ
僕の配信により、拡散された自分の神社。
その意味は想像を絶する程にあったらしい。
自分の神社は今、たくさんの参拝客を前にして大パニック状態となってしまっていた。
「……大丈夫かなぁ」
そんな状況であるからこそ、僕としてはやっぱり自分の神社の方に構いたいのだが、この世界の惨状はそれを許してくれるだけの余裕はなさそうだった。
日本にもまだ、大きな傷を残している迷宮大氾濫。
天空から降っていた今もなお、一切動く様子のない強力な魔物を除き、一週間もかからず魔物を地上からほぼ駆逐出来た日本でさえも、大きな傷を負った。
「こっちが大変だというのも当然わかっているけどねぇ……」
当然、日本でそんな惨状なのだから、海外ではもっと大変なことになっていた。
日本はダンジョン分野において、他国を完全に置き去りにしての独走を決め込んでいる状態。
この国が有する戦力は非常に膨大であり、僕もまた、その中に数えられる子だ。
日本政府から頼まれた海外の救助作業。
それをそろそろ、しっかりとこなすべき時だろう。
「はぁー」
というわけで、僕は大変なことになっている神社は水樹をはじめとする三人に任せ、大変なことになっている世界の方を何とかするために動き出していた。
「いやぁー、君がここに来てくれてよかったよ」
「お久しぶりです」
「あぁ、久しぶり。それと、ようこそ。アメリカに」
そんな僕がやってきたのは太平洋戦争以来の同盟国であるアメリカ合衆国だった。
そこで、僕は日本最強の呼び声高く、勇者の二つ名を持つ牧野蓮夜さんと久しぶりに顔を合わせていた。
「それにしても、また何でアメリカ何ですか?もっと、対応すべき国は他にあるのでは?」
日本政府からの要請でアメリカに来たわけだが、何故、ここなのだろうか?
別にもっとヤバめなところは多いし、多分だけど、アメリカが日本の次に被害を低く抑えたよね。
「はっはっは。それに関してはただの国家間のしがらみだよ。経済的にも、軍事的にも関係の強い我が国で最大の同盟国を優先しないわけにはいかないだろう?」
「……」
これに対して、何も言わないのが大人というやつである。
僕はまだ高校生だけど。
「とはいえ、アメリカに注力していられるような余裕もない。言ってもらった通り、世界は大変なことになっているからな。早々に蹴りをつける必要がある。君の力、大いに期待しているぞ」
「えぇ、わかりました」
大きな期待を寄せてくる牧野さんの言葉に僕は頷くのだった。
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