神社のダンジョン
天音さんたちのお母さんの状態を確認した。
そんな僕はすぐに四人を連れて自分の神社の方へとやってきていた。
「ここが、千夜の家のダンジョン」
「そうですよ」
そして、神社の方へとやってきてすぐに僕と時雨さんはダンジョンの方に降りていっていた。
「自分たちの目的地はここの150階層です」
目的の地。
神社のダンジョンで天音さんたちのお母さんを治すものを獲得できるのは150階層……一度、僕も降りていった場所であるが、かなりレベルが高く、普通に死にかけたようなところだった。
なので、もう一度潜るのであれば出来るだけ時雨さんを連れていきたかった。
「急いでいきましょう」
「うん」
とはいえ、時間がそんなあるわけじゃない。
自分が政府の方から頼まれている案件もあるわけだし……出来るだけ急ぎ目で行きたかった。
「……私たちのお母さんは、大丈夫?」
ダンジョンの中を爆速する自分の召喚した青龍の上に、僕と時雨さんが乗っかっている中で、色々と言葉を交わしていく。
「うん、大丈夫ですよ。うちの神社のダンジョンなら問題なく捌ける案件ですので。安心してください」
「そう……なら、良かった」
「確実に治しますので、ご安心ください」
「……それで、さ。お母さんは、どんな感じだった?私、ずっと、会えていないんだけど。会える、かな?」
「……」
僕は自分の隣に座る時雨さんの言葉に思わず口を紡ぐ。
「んー、治してからでいいんじゃないですかね?」
そして、その後すぐに僕はちょっと誤魔化すように笑みを浮かべながら答える。
「……そう」
誤魔化しは、効かないよねぇ……。
お母さんの状況は、時雨さんたちが見て、とてもいい気分になるようなものじゃないと思う。
「もうすぐでさ、治せるから」
治す手立てはある。
なら、焦ることはない。僕はそう思うし、そう時雨さんの方にも伝える。
「……それにしても、ずいぶんと個性的。というか、初めて感じるような空気感のダンジョン」
そんな僕の態度を受け取り、時雨さんも話を切り替えて、ダンジョンの方へと注視する。
「まぁ、特殊なダンジョンですし」
基本的に世界中のダンジョンは信仰心を失い、留めていた世界の厄災の力が暴発して一か所に固まり、そして出来上がったのがダンジョンなのだ。
ただ、うちの神社のダンジョンの場合は違う。
「ここは神様によるダンジョンなんだよ」
「なる、ほど」
ここは明確な、一柱の御力により存在しているダンジョンなのだ。
神様がその身に蓄えている世界の厄災の力を注ぎ、作り上げたダンジョン。作られたダンジョンであり、その他の生まれてしまったダンジョンとは大きく違う。
「まぁ、だからと言って何かが変わる訳じゃ……ないけどね」
……。
…………。
このダンジョンより与えられたものすべては、その神様によって与えられる祝福となり、それを私用することなど認められない……認められないので、僕はお金がない。僕はこのダンジョンにより成長し、強さを得た。
なれば、その強さを自分の為だけに使っていいわけがない。
神社の神主として、しゅ、祝福は世界に、恵み、伝えるべき……ぐすん。お参り客くらい欲しいな。明日のご飯で悩みたくない。
「……千夜?」
「ちょっと、テンションが下がりました」
「えぇ……っ!?何で!」
「青龍の力で何とか出来るのは百階層までです。百階層になったら、青龍から降り、自分たちの力で攻略を始めます。準備しておいてください」
ちょっともやもやしたことがあったら、魔物をボコボコにするのが一番だ。
それこそ、最高のストレス発散となるからね。
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