地上

「「「グルルルルル……」」」


「「「ガァァァァァァァアアアアアアアアアアアア」」」


「「「ウー、ウー、ウー……キャンキャン!」」」


 広々とした空間が広がるダンジョン内において、複数体の、格別した巨躯を持った二頭の狼の魔物たちが僕たちの前にうねり声を上げる。

 このダンジョン内は今、重苦しい殺意の渦巻く地となっていた。


「具現領域」


 そんなダンジョン内は突如として、灼熱の大地が荒ぶる活火山へと変貌する。


「びぃぃぃぃぃいいいいいい」

 

 沸騰し、跳ねるマグマへと呑み込まれた魔物の一体がその体躯をドロドロに溶かしていく。

 ダンジョンは、殺意の渦巻く地から、何時マグマに呑み込まれて死んでもおかしくない死の大地となっていた。


「ハァァァッ!」

 

 ありとあらゆるものを問答無用で溶かす。

 煮えたぎるマグマが流れるこの大地で、魔物たちがそのマグマを恐れて動きを止める中、時雨さんだけは迷うことなき足取りでその場を駆け抜けて、魔物を斬り裂く。


「不知火」

 

 そして、手にあるものを刀から弓へと変えた僕は召喚した不知火を宿らせた火矢で魔物を貫く。

 

「「「くぅぅぅぅぅぅぅうんっ!?」」」

 

「いや、調伏はしないよ?」


 不知火で全身を包まれ、情けない悲鳴を上げる魔物。

 それを更に、僕はもう一発の火矢を叩き込み、確実に止めを刺す。

 その期間も、時雨さんは刀を振るい、大量の


コメント

・何が起きているの???

・まだ、何かあるの?

・うっそー

・今、カンヌシは何て言った?


 どんどんと狂暴な二頭の魔物は駆逐されていく。


「ここから出し惜しみはなし……既に335階層なのでね」


 僕はここから更に、魔物たちをこの場に召喚していく。

 マグマでくつろげろ炎の精霊を召喚。

 彼らがマグマを操り、二頭の魔物へと絡みつかせ、呑み込んでいく。


「ラスト」


 戦闘開始から三分。

 これだけの期間より、時雨さんが最後の一体を斬り捨てる。


「ふぅー」


 勇者である牧野さんと一度、別れた後。

 僕たちはその牧野さんのアドバイス通りに335階層へと足を踏み入れていた。

 別にボス階層ではない335階層。

 そこで現れる魔物たちを次々と撃破。具現領域に魔物の召喚も出し惜しみせずに使って進んでいった」


「本当にありましたね、335階層に」


「そうね」


 そして、その果てに僕たちは一つの小部屋へとたどり着いていた。

 この小部屋へとマーカーを突き刺せば、一切の問題なくマーカーはその機能を発揮し、しっかりとここに指すことが出来た。

 これで、僕たちは次に335階層からスタートすることが出来る。


「ところどころでセーブポイントがあるのはありがたいね」


「そう、ですね。とはいえ、誰がこんなところで立てているのか、という話ではありますけど」


「そこらへんは気にしちゃ駄目。早く、戻ろうか」


「はい」


 深層での戦闘はガッツリ体力を奪われるし、消耗も激しい。

 僕たちは目的の階層まであと、15階層と言ったところで地上にまで戻っていく。


「はっ……?」


「えっ?」


 そして、僕たちが地上に出てきたそこで見たもの。


「ガァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアっ!」


「い、いや……」


「がうっ!がうっ!がうっ!」


「きゃぁぁぁぁぁあああああああああ!?」


「あおぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおんっ!」


「だ、誰か助けてっ!?」


 それは、地上へと大量の魔物が押しかけ、大暴れしているような状況だった。

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