二日目
「あれ?今日はなんか、視聴者が少なくない……?」
意気揚々とダンジョンへと入り、配信を始めた僕は昨日よりも圧倒的に少ない視聴者数に首をかしげる……も、もう既に旬が過ぎてしまったというのだろうか?
だとするのならば……あまりにも早すぎないだろうか?僕は悲しくて泣いてしまうよ。
コメント
・今日は同じ枠で今、
・時雨ちゃんにお前如きが敵うわけないだろwww
・まぁー、時雨と枠被れば仕方ないわな
・なんか、時雨ファンの癖に肥溜め来たアホおらん?
「あー、なるほど。あの人か」
時雨。
その名は流石の僕でも知っている。
日本に三人しかいないSランク冒険者……に、最も近いと言われているAランク冒険者であり、配信者としての人気も最高峰に高い方のことだ。
確かに、あの人が僕と同じ時間帯に配信しているのなら、仕方ないかも。
コメント
・詐欺師でも知っているのか
・知っとるんや
・今日のコメント欄は割と平和やなw
・死ね死ねbotが消えたwあいつ、時雨ファンかよ
「確かに、一気にコメント欄の治安が良くなったね……視聴者数が」
コメント
・くwさw
・そこで悲しそうにするなよwww
・あまりにも清々しい
・終わっている。それで配信者かよ
コメント欄が荒れているよりは、荒れていない方が良いけど、それによって視聴者が下がったら本末……っ!
「でも、ここまで減るものなのかな……?僕は別にアンチコメをしていた人をこう、何?配信者側の設定やら、何やらでbanしたりとかはしていないはずだけど」
コメント
・冒険者配信の界隈は濃いからな、冒険者そのものを馬鹿にされることを嫌うんだよ。だから、絶対に許せねぇ!ってなっているんだろう。
・インターネットで肩に力を籠めるなよな
・ここにいる奴らは映像作品として見に来ている
・ただ燃やしたいだけの奴らと冒険者配信の界隈は割と遠いのもあるかも
「まぁ、時雨さんの配信が終わったら、自分のところに人が流れてくることを願って、今日もダンジョン320階層で頑張っていきますよ……既に320階層にいるので、今、周りに自分の存在を気取らせないように使っている特殊な技を辞めればすぐに魔物が寄ってくるよ」
自分の存在を周りの魔物に気取られないように働いてくれていた魔物を僕は帰らせる。
その瞬間、僕という一人の人間の存在がここに浮かび上がってくる。
「ガァァァァァァアアアアアアアアアアッ!」
そして、それにすぐ反応して一体の魔物が僕の前へと現れる。
「……昨日の最初の方からのスタートではなく、最後からのスタートかぁ」
その魔物は高層ビルくらいあるこの階層の天井に頭がつきそうなほどに巨大な竜であった。
間違いなく、昨日のそこそこの魔物が大量に襲い掛かってくるようなタイプではなく、一体一体、強力な奴が現れる面倒なタイプであることに間違いない。
「こんな狭苦しいところに竜なんてデカいやつ出すなよ」
長引きそう。
そう直感する僕は力強く手にある付喪神たる刀を握り、竜へと立ち向かっていく。
試験を今日中に終わらせるため、僕は素早く魔物との戦闘に入っていくのだった。
……。
…………。
それから、どれだけの時が流れただろうか?
あと少しで、依頼も終わるといった段階になって。
「……おん?」
僕は自分の配信の視聴者数が増えていることに気づき、足を止めるのだった。
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