第5話 ようこそ、王都シフォンディーアへ②

「柏田さぁあん!」


「まぁかっしーなら大丈夫でしょ」


「そうだけど!」


私たちは柏田ちゃんが消えた路地裏に向かった。


「あーみんな来たんだぁ」


柏田さんは案の定ピンピンしていた。


「ほらね、かっしー才女だもん」


「才女じゃないない、才女オブザ才女オブザ才女だ」


「はいはい」


呆れた顔の甘田さん。


「柏田さん、怪我とかない?」


私は一応柏田さんに安否確認をとる。


「だいじょぶだいじょぶぅ、犯罪者はこの柏田千代子様がこらしめましたぁ」


余裕そうな笑みでピースをする。


「無事でよかった」


私はほっとした。


「そのボンボンはどうなったんですか」


「気絶してるだけだよ、なんならコイツから金品全部いただきましたぁ」


「追剝ぎじゃねーかこの犯罪者!」


「でもこの世界のお金持ってないしぃ、今夜の宿代ないと私ら不潔になっちゃうしぃ、化粧品とかいろいろ買えないじゃーん」


大人っぽいと思っていた柏田さんが子供っぽい口調になった。


「あはは、かっしーは金の亡者だからねぇ」


「追剥ぎしていい理由にならないですよそれ」


私は笑う甘田さんにツッコむ。すると佐藤さんがボンボンに近づき、なんと刀を抜いたのだ。


「この人なら、殺っていい?」


ニヤニヤしはじめる佐藤さん


「ダメダメもなか、命を狙おうとしてたわけじゃないから殺っちゃダメ。それにソイツの精巣は潰した、これでもう女の子を襲おうだなんていうことは思わないだろう」


「シュン…」


悲しそうな顔をしてその場から去る佐藤さん。


「さぁさっさとずらかるよ皆、やったぁカネカネぇ~」


「残念だったねーもなかぁ、いつか人も斬れるといいねぇ」


「う、うん」


励ます甘田さんと目をうるうるさせる佐藤さん、そして目が金になっている柏田さん。

なんなんだこいつら、改めて思うがどうして私はこんな世界こんな人たちと一緒にいるんだろう…。なんかもう元の世界に帰りたい。



            ◇◆◇◆◇◆◇◆



           グラン大陸大森林


「おいリコ、の感じたか?」


「ええ、東の方ね」


大森林の中、剣を持った硬派な黒髪イケメンと小さな女の子の妖精が何かの上に座っていた。


「シフォンディーアか、その地からとは随分と珍しい」


「どうするスナク?」


「決まっている、世界外来種は俺が滅ぼす。」


「そうこなくっちゃ、ところでどうする?」


「バラ斬りにして売り飛ばす、金になる」


「世界外来種58号暴食なる八つの脚グラトニークラーケン、上級剣士数人ですら相手にならなかった個体だけど私たちの相手ではないね」


彼らは暴食なる八つの脚グラトニークラーケンの上に鎮座していた。



          

            ◇◆◇◆◇◆◇◆



一方私たちは奪った金品で服を買い、宿を借りた。


「さすが高級宿、ふとんの質から違うねぇ♪」


柏田さんはベットの上に飛びついて大の字になる。


「かっしー、やっぱり高級宿はちょっと金の無駄な気がすんだけどぉ、普通の宿屋でよかったくない?」


甘田さんがベットの上でぴょんぴょんしながら柏田さんに言う。


「何度もいうけどトイレが汚いんよ安いとこでは、水洗トイレないからねこの世界、ぼっとんよぼっとん。であるならば高級なとこ選んでよりマシなぼっとんの方がマシっしょ。」


「それもそっか」


なんか女の子であるまじき会話をしてる。


「皆、今日買ったお洋服の着せ合いっこ見せあいっこ、しよ」


すると佐藤さんがこんなことを言い始めたのだ。


「おおいいねぇ、私もそれ賛成アルカリ性!」


「じゃあまずは私、千代子様からだ」


「えーずるいよかっしぃー」


「私のお金だからねぇ洋服代」


「いやかっしー、変態ボンボンのやつっしょ」


甘田さんが私の思っていたことを代弁した。


「わかったわかった、じゃあエントリーナンバー1、甘田ねるね」


「マジ、ありがとう!」


かくしてファッションショーが始まる。


「じゃーん、魔法使いっぽい衣装♪」


甘田さんが初陣をきった。黒とピンク紫をベースとした、リボンとフリル満載の衣装、とんがり帽子がチャームポイント。スカートからのぞくロングソックスとヒツジのもこもこポーチもいいアクセント。


「すごくかわいいじゃんねるねる」


「かわいい…」


「甘田さん、すごく似合ってます!」


「ありがとー!次は言い出しっぺのもなか!」


「いや私じゃないんかーい」


                次回に続く。










































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