第4話 ようこそ、王都シフォンディーアへ①

王都シフォンディーア、グラン大陸東部最大の街。地平線を覆うと言わんばかりに横に続く巨大な壁は敵軍や魔物の侵入を通さない。大河をまたいだ一本の橋のみがこの街への通行を許す。


「本当は最初から城下町に到着できたらよかったんだけどね」


長い橋を渡る女子高生一向。そしてシフォンディーアの門へとたどり着く。


「貴様らぁ見ない顔だな」


門番の兵士2人が女子高生たちを問い詰めた。


(怖い人たちだなぁ)


強面の彼らに私は少しビビってしまう。


「私らここの街のものなんですが、長旅から帰ってきまして、それで街にはいりたいんですが」


柏田さんはそんな兵士たちに対しても臆せず語る。


「通行手形を出せ、四人分をな」


(通行手形って、そんなの持ってないよ)


そう思っていると柏田さんが懐からなんと手形を四つ取り出したのだ。


「はいこれ」


彼女は手形を兵士たちに見せる。


「ふむ、確かに本物だ」


一方の兵士はそれを見て納得した。だがしかしもう一方はそうでないようで


「確かに本物だがそれでもおまえら怪しい、なんだその珍妙な衣装は?」


私たちの制服がどうも怪しいと思っているらしいのだ。


「はぁ、仕方ない、これだけはしたくなかったんだがなぁ」


そういうと柏田さんは兵士たちにあるものを渡した。


「今夜はこれで癒されておきな」


「こ、これは...!?」


柏田千代子本人のセクシーブロマイド写真だった。


拝啓は海、たわわな瓜を二つ実らせた長身の美少女が笑顔で振り向く。茶髪のロングヘアーに、脇、胸、、ブラ、鎖骨、へそ、腰つき、美脚、そしてお尻にパイパン.....どれをとってもグラマラス。


「これ、おまえか…?」


兵士は柏田さんにそう問う。


(な、なんなんだこの紙切れは、絵画にしても小さすぎるしリアルな絵をこえた光加減というか、肌のつやとかまさにすさまじく、すさまじくだぁ...あぁあァあ とにかく、ぶひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!)


この世界には写真という概念はない、彼らからすればこれほどまでに膀胱がかき乱される春画はないのであろう。


「こ、これを無料でくださるっちゅうんですか!?」


兵士はもう関西弁だ。


「今回は特別に無料ただであげるよ」


「ありがとうございます!ありがとうございます!恩にきるっぺ、恩にきるっぺ!!」


こうして無事に門をくぐることに成功した。



               ◇◆◇◆◇◆◇◆



「かっしーってそんな趣味があったんだねー意外(笑)」


「昔興味本位でグラビアやってたことあるんだよ」


シフォンディーアの街の中、甘田さんは柏田さんのことをからかう。


「あのぉ、いろいろツッコミたいんですけどなんでこの世界の手形を持ってるんですか?」


私は柏田さんに素朴な質問をかけた。


「......まぁ前にも来た事あるからさ」


「え、そうなんですか?」


「話せば長くなるんだけどねぇ」


ヨーロッパ風の街を歩きながら柏田さんが話そうとすると、前の方から女性の嫌がるような甲高い声がした。


「何事?」


「事件の匂いだよ皆ぁ」


私たちは声の方に駆けつけた。


「ちょっとやめてください!」


「ぐへへぇいいだろいいだろぅ」


1人の女性がいかにもボンボンなやつに強引なからみを受けていたのだ。


「放してください!」


「放しませぇん、キミは今日の僕チンの今晩のおかずだぁ」


ボンボンは女性の身体を触りに触る。公然の前で見せられるそれには住民でさえも気付いているが、皆見て見ぬふり。


(あいつ、ブリッツ家のボンボンだ)

(助けてあげたいんだけど、ブリッツ家に逆らうことになる)

(クソぉ見て見ぬふりしかできねぇ)


住民はみなブリッツ家であることや、自分たちのことで精いっぱいのため、無視するばかり。


「どうして誰も助けようとしないんですか!?」


私はこの理不尽な状況に言葉を出さざるを得なかった。


「ここの貴族は基本皆クソだからねぇ、まぁどこの世界でもそうか」


そうすると柏田さんはなんとそのボンボンに何の気なく近づいたのだ。


「おにいさぁあん、ちょっといいかな~」


「なんだよオメエって、えぇぇぇ」


柏田さんはすごい美女だ、ボンボンの目は彼女にくぎ付けになる。


(なにこの子、すんごいかわいい。あれ、俺が襲おうとしたこの子、よく見たらブサイクじゃね...?)


「おまえもういいよ、帰れ」


「え?」


女性は一瞬戸惑ってしまった。


「おねえさぁあん、今夜のハンバーグになってくれないかい?」


「いいよ、今夜じゃなくてもさぁ、すぐそこの人影のない路地裏でおっぱじめようよ」


「いいねぇ!」


「」


女性は複雑な心境で言葉を失いながら路地裏に消えゆく柏田さんらを見つめた。



             ◇◆◇◆◇◆◇◆



「ぐへへぇ、まず何からしようかぁ」


路地裏にてボンボンと柏田は今にも交わろうとする。


「俺はぁそうだなぁ、とりあえず赤ちゃんプレイからしたいかなぁ」


「それはいいっすねぇ~まずは」


すると柏田はボンボンの股間を思いっきり蹴りぬいた!


「いっでぇえええええええええええええ!!?」


蹴られたショックで股間を抑え込むボンボン。


「きっ、貴様ぁ…これはどういう...」


「キっショいんだよてめぇ」


ゴミを見るような目でボンボンを見下す柏田


「あ、ああああ、あーそーゆーこ、かぁ、貴様ぁあああ!」


痛がる奴の言動を無視し、


「くたばれ」


柏田は奴の頭にかかと落としを落としたのだ


「ぐはぁあっっ!!」


その衝撃でボンボンは気絶してしまい、その場に倒れた。




































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