第2話 才女なクールギャルと陰キャの私②

「う、うn…」


うつ伏せの私は目を覚ました、ここはどこだ、見渡す限りでは少なくとも外ではないようだが。どこかの教室なのか?


「あ、オタクちゃん目ぇ覚ました」


ダウナーな声がする、柏田千代子さんが目の前にいた。

柏田さんだけじゃない、そこにはもう二人いた。


「わぁすごぉい、ホントにオタクって感じの雰囲気だぁ、でもよく見たら顔かわいくない?」


白衣を着た金髪ツインテ(ピンクメッシュ)の陽気なギャルが笑いながら私になんか言ってる。


「...」


黒髪ポニテで、柏田さんと金髪ツインテの子とは対照的にスカートの丈が長いもの静かそうな子がいる。


「ひぃいいいいいいいいいいい」


私は目覚めたとたん彼女たちから距離をとった、ギャルに囲まれたら怖いのなんのだ。


「ねぇ私ってそんな怖いのかな?」


柏田さんが金髪ツインテに問う。


「うーん、高身長だし声低い方だししょうがないんじゃない?」


「やっぱかわいくないかぁ」


なんで私こんなところにいるんだろう...私はこれから一体どうなるんだ


「かっしーが怖がらせてごめんねオタクちゃん、私は甘田かんだねるね。よろしく」


金髪ツインテの子が自己紹介しながら私に手を差し伸べる。


「」


私は怖くなった、この手はどういう意味なんだろう、友好のしるしか、いやこんな私にそんなはずが


「オタクちゃんさぁ、まず人疑うのやめよ」


「え?」


柏田さんはこんなことを呟いたのだ。


「オタクちゃんがどう思ってるか知んないけど、仮にも手を差し伸べてるんだから普通は受け取るものでしょ」


「…あ、はい」


私は甘田ねるねさんの手を受け取り立ち上がった。


「おー意外と素直だねぇ」


甘田さんがそう呟いた。


「オタクちゃん、名前教えてよ」


続けて甘田さんは私に質問した。


「あ、あああ雨宮恵、です」


「おーめぐみねぇ、じゃあメグみーだぁ」


「メグみー、ってわわわ私のことですかぁ!?」


はじめてなんかあだ名つけられた気がする。ちょっとこのノリについていけてないが内心嬉しい。


「じゃあ今度はこっちが自己紹介するね、私は甘田ねるね、ねるねるって呼んでね。そしてそこの背の高い別嬪さんがかっしーこと柏田千代子。お姉さまみたいでマジ頼れるぅ、そしてそこのポニテでもの静かなのが佐藤さとうもなか。」


「よろ」


佐藤もなかはそう挨拶した。


「よ、よろしくお願い、します」


「さっきから思ってたんだけどなんで敬語?同い年だよ」


甘田さんは不思議そうにそう頭を傾げた。


「オタクちゃぁん、よろしく」


名前言ったのに柏田さんはオタクちゃん呼びだ。


「あのぉ、なんで私、柏田さんに誘われたんですか?」


ずっと思っていたことを私は質問した。何故私のような陰キャをこの人たちは誘ったのか。

すると柏田さんはあることを言ったのだ。


「あぁこれから私ら、行こうと思うんだ」


彼女はこのようなことを宣言した。


「は?」


当然私はその言葉の意味を理解できなかった。

異世界、ラノベとか漫画とかで見る中世ヨーロッパ的なアレ、フィクションの話なのにこの人は何を言っているのだ...。


「ねるねる、例のものを」


「ラジャー」


すると甘田さんは白い布に被さったあるものから白い布を取り外し中身を公開した。

するとそこにはかなり大きく機械的で輪のような装置があった。


「じゃじゃーん、異世界移動用ゲートぉ」


何の気なく彼女はそう紹介する。


「異世界移動用ゲートぉお!?」


この金髪も一体何を言っているのだ...。


「3日かけて私が作ったんだぁ、すごいでしょ、天っ才でしょ♪」


「これ作ったの!?」


私は普通にビックリした。


「さすがねるねる博士」


佐藤さんが賞賛、いやもっと驚けよ、なんでこの人たちこんな反応薄いんだ。


「んでねるねる、これ実際どーなん?」


「ばっちグーチョッパー」


もう話についていけない。なに、仮に異世界があるとして、異世界行くのに関係ない私巻き添えにするつもり?

私はもうよくわからんくなった。


「さぁ皆ぁ異世界レッツゴーっておいおい...」


柏田が振り向くとそろりそろりと逃げてく雨宮恵がいた。


「オタクちゃぁあん、どこ行くのぉ?」


「ひぃいいいい、だってぇえええ泣」


1話の時みたいに再び私は掴まれてばたばたした。


「行けるかどうかもわかんないのに、というか絶対あり得ないのになんで行こうだなんて馬鹿なこと考えられるんですかぁ、というかなんで私みたいなゴミクズを誘おうとするんですかぁあ!?」


私は必至に彼女に訴えた。だってこれ私要ります?どう考えたって私役立たずでつまらないでしょ。


「できるかどうかって重要?」


すると彼女から意外な答えがでてきた。


「確かに君の言う通り私らの行いはバカげてるかもしれないし、異世界に行ける確証はないかもしれない。けどね、何かに挑戦するってできるできないでなく、とりあえずやるってことじゃん。やってみなきゃという答えでさえ知るよしもないじゃん」


「友達を作るだってそう、最初から諦めてると、できるものもできないよ。」


「...」


その言葉は私の心に去来するものがあった。


「それに、オタクちゃんとだと異世界ものの話で盛り上がりそうだし」


中学時代の私はつらかった、陰口を言われ、暴力を振るわれ、教科書を燃やされ、整理の血をも飲まされた。私はいつしか人を信じれなくなっていた。


でもこの人たちなら、少なくとも柏田千代子さんなら、私じゃ信用できる気がする。


「ぐ、ぐう聖!」


「急にどした?」


私はつい変な言葉をもらした。


















































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