4人のJK、ちょっくら異世界通って無双する【異世界ドタバタコメディ】

堀井友治

第1話 才女なクールギャルと陰キャの私①

グラン大陸には時折別次元から生命体や遺物が迷い込んでくる。世界外来種とも呼ばれるそれらはグラン大陸の生態系や文明に多大なる影響を与えるときがある。


これはグラン大陸の生態系どころか陰謀する組織さえ戦慄させ恐怖に陥れた、日本の4人の女子高生の物語である。



            ◇◆◇◆◇◆◇◆



私は陰キャぼっちだ。


中学までは友達に恵まれていた、厳密に言うと中1の春学期まではだ。けど女子の友情ほど紙切れの如く揺らぎやすく、破れやすいものはない。


どうやら当時の私はかなりしつこかったらしい。それになまじ勉強もできてたのも相まって調子に乗ってたかも。そのせいで私はかつての友人たちから嫌われいじめの対象になった。


中学を卒業し逃げるように地元から離れた高校に進学した私、雨宮恵あまみやめぐみは高校2年生、友達を作ることがトラウマとなりいまだに友達ゼロ。


休み時間とかはよく寝たふりをする、もはやオタク趣味だということもばれたくない。そして頭を塞いだ腕のスキマと耳を使って、クラスの人たちの話を盗み聞きするのが今の私の趣味だ。


「かっしー、かっしー」


クラスの陽キャの声がする。


「ん、どした?」


それに対してダウナーで少し低めな声が返ってくる、このクラスでもヒエラルキーばり高のギャル、柏田千代子かしわだちよこさん。茶髪に高身長、ダウナーでニヒルなギャル美人、その声には余裕な感じが乗っている。


「数Ⅱのここマジわかんないんだけど」


柏田さんの友達だと思われるその子は柏田さんに勉強を教えてもらっている。


「うーんこれね、こうしてこうしてこうだよ」


「うわすご、わかりやすっ」


いとも簡単に数学を教える柏田さん。


するとまた別のスポーティな女の子が柏田さんに寄ってきた。


「ごめんかっしー、再来週の試合一緒に出てくんないかな?」


「ああいいよ、暇だし」


「まじぃ、ありがとう、これはもう優勝だわ」


「そこまでじゃないって(笑)」


柏田さんは笑いながらそう言った。


柏田千代子、運動も勉強もなんでもできる、ちまたでは”才女オブザ才女オブザ才女”なんて呼ばれている。私とは大違いだ。


「あ、株価上がった、もうけもうけ」


おまけにイヌスタでいいねもらった感覚で株価上昇を喜んでる。


「株で一儲けしたし、今度皆で焼肉ユニバ行っとく?」


「いいねぇ!」


女子高生とは思えない異様ともいえる彼女のカリスマ性は、もはやクラスに馴染み沁み込んでいる。はぁ、私もこんな人生がよかったなぁ。


そうこう考えているうちにもう夕方が訪れた。部活動も入ってないので授業が終わると後は帰るだけだ。帰ってゲームや宿題するだけ。

柏田さんのような人生がいいのであれば、部活動などはそれに近づける道なのだろう。けど私は怖いのだ、人との関わりが。


私はゴミクズだ、生きている価値はない。


そう思いながら私が下駄箱から靴を取り出そうとするときだった。


「あのぉすいません」


後ろから聞き覚えのあるダウナーな低い声がする、柏田千代子だ。

けどそれは私に対しての呼びかけではないだろう、私なんかを相手にするとは思えないから。私はかまわず靴を地面に置く。


「あのぉ、話聞いてっかなぁ」


まさか私に対して言ってる?


「キミ君ぃ、そこの靴履いてる君ぃ」


私、なのかな。


私は後ろを振り返った。


(ぐ、ぐあああああああああああああああああああ!)


私は心の中で叫んでしまった、ギャルの御顔おんかお、神々しすぎて見れない、この光が、御顔から照らし出されるこの光が私の脆弱な心を日に当たった吸血鬼のように焼き殺すようだぁああ


私は逃げるようにその場から去った、全速力で走り去った。


「あらら、逃げちゃった」


千代子は困った顔をしながら逃げる恵を見つめる。


(怖い怖い怖い怖い怖いギャル怖い人と話すの怖い!)


私は帰路を全力で走る。


「どこ行くの、オタクちゃぁん?」


しかし柏田さんは走る私にもう追いついてきたのだ。


「速ぁあ!?」


私は驚いてしまった。盗み聞きで聞いたことがある、この人100メートルを3秒だ。怖い怖い怖い怖いバケモノ怖い。


「はい捕まえた」


柏田さんは私の襟を掴んだ。


「は、放してくださぁああい!」


私は掴まれながら体をブルンブルンさせ必死で抵抗した。


「話してくださいって、やっとその気になったかオタクちゃん」


違いですぅうううう」


彼女の握力は強く、必死の抵抗も虚しい結果となった。


「というかなんで私がオタクだって知ってるんですかぁ泣」


私は全力でオタクであること隠したはずだ、何故バレてる


「いや、時々誰もいない教室でそれっぽいゲームしてんじゃん」


「あ」


隠しのセキュリティ、ガバガバのガバだった。


「それはそうとオタクちゃん、ちょっと付き合ってくれるかなって、あれ?」


私は気絶した、もう駄目だ、ギャルに捕まえられてしまった、これから私いじめられるんだ、そう考えられると意識が飛んだ。


「あらら、今度は死んじゃった...」
























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る