第5話 エアコンは誰が為に動く

 大々統一理論の半分、文学少女、化学少女、剣道少女の力を合わせ、楽園への扉を開くことが『俺』の望みである。楽園から追放されたものは男と女だけではない。蛇も含まれる。最も呪われ、野を這いまわることになった。

 これは噓である。


 とにかく我々はエアコンのリモコンの電池を得た。人ではないと企業によって定められたモノたちの魂は何処に行くのか。


「我々はエアコンのリモコンの電池によってアレの危険性を封じ、機材をよく保ち、そのついでによって暑さから救われる。これは多くの犠牲を払う価値があった」


 博士は生き残った我々に語りかけた。これは我々の犠牲を慰めるための噓に過ぎない。そんなことは博士だって知っている。だが口にしなければならない。犠牲には価値があったと。


 我々はエアコンの祝福を取り戻し、通常業務に戻った。『俺』が楽園に戻る日はまだ来ない。社畜たちもその命を失うまで労働し、その死体は廃棄物として焼却されるのだ。

 これを罰と呼ぶ。

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シーシュポスと神話 筆開紙閉 @zx3dxxx

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