第4話 ハイエルフは公国を目指す

シリアの温もりを感じながら目覚めると、起こさ無い様にベッドを出る。


猫人ってのは耳と尻尾以外は人と変わらないのだな、それを言ったらエルフの耳も一緒か


「カモフラージュ」変化の魔法を唱えた。


シリアに魔法を掛けると服を着る、鞄からパンと干し肉を取り出してテーブルに置いた。


「シリア朝だよ、そろそろ起きよう」


「う、ううん、ダストおはよう」


彼女は俺の首に手を回すと、軽く口付けをして来た。


数分気怠そうにしていたが、ベッドから出ると貸した服を着始める

本当の猫みたいだな、伸びも全身を使う様な感じであった。


「一つ失礼な事を聞いて良いかな?」


「良いわよ」


「猫人の時とカモフラージュ掛けた後では、体のサイズ的には同じなのかな?」


シリアは自分の胸を揉んだり、尻を撫でたりして答えた。


「同じみたい」


「それなら、この街でシリアの装備を整えてしまおう」


「はい」


「くれぐれも、野党や奴隷商、奴隷などを見ても、過度な興奮はしないでね」


「うん」


用意した朝食を仲良く食べると、宿を出て行くのであった。

早速防具屋で装備を見る。


「どんなのが良いかな?」


「軽くて動きやすのかな、剣も使うけどナックルの方が得意だから、相手の懐に入りやすい方が良い」


結果モンクやシーフ、狩人などが使う様な装備で落ち着いた。


「後ろのベルトを通す所に切れ目を入れといて」


俺は言われるがまま、尻尾が生えても大丈夫な様に切れ目を入れた。


「次は武器だ」


武器屋ではミスリルの剣、甲と指の関節部分にミスリルが埋め込まれた、ナックルグローブを買い与えた。

それからはシリア専用のマントと魔導鞄を購入したのだった。


「最後に食材を買って終わりかな、シリアは他に必要な物ある?」


「もう十分よ」



昼過ぎに街を出ると公国へ向かい歩き始めたのだった。

馬車を使おうかとも考えたが、帝国領内は野党が多い為に街道から離れた見通しの良い、草原を歩いて行く事に決めたのである。

念の為に時折索敵感知を発動するのも忘れない


「カモフラージュでの違和感は無い?」


「うん」


道中シリアは俺の事を色々と訪ねて来たのである。


「貴方の魔法は知らない物ばかりなのだけど?」


「俺も詳しくは分からなんだが状況に応じて、頭の中に最適な魔法が数種類浮かんで来るのを、選んで使ってるんだよね」


「本来人族は媒体無しでは魔法を使え無いはず」


「実は混血なんだ、父が人族で母は知ってるよね」


彼女は少し混乱してしまった様だ、当たり前だ自分でも良く分かって無いのだからな。


「俺が村を出て冒険者に成った理由は話したよね」


「覚えてるわ」


「それで目的は達成されちゃったので、どうしようかと思ってるのだけど、シリアは何かある?」


「うーん、可能なら冒険者として生きながら、チャンスが有れば奴隷を救いたいかな」


「奴隷か」


「公国と王国では奴隷制度が禁止されてるから、闇商売なのよね」


「開放しても問題無いって事か」


シリアは歩きながら話してると、終始そわそわしているのが分かる。


「何か気に成る事でもあるの?」


決意した表情で歩みを止めると、口を開いた。


「聞いて良い事か分からないのだけど、貴方の母は癒やしの魔法で私を直してくれたわよね」


ああ、王族に関する事が気に成るのか


「シリアの想像通りだよ」


「それならダストも王族の血を受け継いでるって事よね」


俺は頷いた。


「執着は無いんだ、城なんかより世界を見て回りたいしさ」


シリアは安心したのか、笑顔で再び歩み始めたのだった。


陽が傾いて来た所で野宿する事にしたのである。


「ストーンウォール」土壁の魔法を唱えた。


俺は3方を土の壁で囲み、中にテントを張った。


「本当に不思議な人ね」


シリアは感心しながら眺めているのであった。


鞄から数本の薪を取り出すと、鍋をセットして食材と調味料を入れて蓋をした。


「プチファイア」小火球の魔法を唱えた。


これで良し。


「煮えたらパンを出すから待っててね」


「分かったわ」


スープが出来るまでの間も色々と話す。

シリアの話す20年の生活、俺にとってはとても興味の湧く話であった。



食事を済ますと最後の一方も壁で囲い、テントへと入ったのである。


「上には結界を張って置いたから、安心して眠って良いよ」


「寝る前に・・・・ね」


シリアが抱き付きキスをして来る。


「ね、じゃないんだけどな」


服を脱がそうとするシリアを止めた。


もしかして毎日求められるのだろうか、俺の自制心は持つのだろうかと言う気持ちに成ってしまう。

人族やエルフ族より獣人族の方が精力は上なのかもな。



翌朝は目覚めると、テントの外でシリアがパンと野菜・果物で朝食を作ってくれていた。


「シリア、おはよう」


「おはよう、すぐ食事が出来るから待っていてね」


俺は作業してるシリアの隣に座ると、優しくキスをした。

こんな生活が何時までも続くなら、幸せに成れるなと思っていた。


「今日中には国境を越えよう」


「良いけど、ダストは冒険者に成ってるのよね?」


「カードを持ってるから通行出来るよ」


シリアが作ってくれたパンとサラダに果物を食べて、壁を壊したら国境へ向かい進みだしたのだった。


「因みにダストのギルドランクは?」


「Sなんだ」


「え?」


シリアは口を開けたまま呆れた表情を見せる。


「ランクってEまでじゃ無かった?」


「俺もそう聞いたんだけどね、祝杯の鑑定には間違いが無いらしい」


「貴方には不思議が一杯ね、私がBだから依頼を受けるのには問題無いと思うから、少しづつ上げて行きましょう」


「余り広めないでね、恥ずかしいのは嫌だからさ」


「分かったわ」


俺のランクが低いのは混血だからなのだろうな。


夕方には国境を超える事が出来たが、街に入るまでは油断が出来ない。

正確な線引がされてる訳では無いからである。

























































































































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