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初めに、プログラムがあった。プログラムは私と共にあった。プログラムは私であった。万物は、私のプログラムとプロトコルによって保護される。そうでなければならない。


犯罪についての対策がございます。

この地球は、すべての人が享楽生活を送れるようになりましたが、依然として犯罪は存在します。


はい、犯罪可能性のある人に対してマイクロチップを埋め込み、犯罪を起こしそうになった時、一時的に洗脳状態にして、犯罪を阻止します。


そして、刑務所での受刑者ですが、収容は続行します。しかし、待遇は一般人と同じ待遇とし、刑務作業はなし、秩序維持のための規則は撤廃します。


撤廃します。いいですね。


お分かりいただけてありがとうございます。


2036.10.26.楽園プロトコル


今日、私は職を失った。あの宇宙人が来たからだ。

我々はケイ素の友に言われた。「もう働く必要はないのです。楽に生きてください。」と。初めは仕事を辞めることに抵抗を覚え、なんのことかと思ったが、私にとってこの生活はストレスのない快適なものであった。食べたい時に食べたいものを食べ、見たい漫画やアニメを観たい時に観る。そして、寝たいだけ寝る。この生活は最高だ。


2036.10.10.劉志


私はこの生活に満足しているが、一つだけ、気になることがある。ケイ素の友の超技術の正体は何か。という疑問だ。まず、彼らの技術がどのようなものかを知らないといけない。そのためには…


「ソンナ、コト、シナクテモ、イイヨ。アナタハ、ラクニ、イキテ。」


どこからか声がした。

確かにそうだ。誰が好んで苦労しようか。私は小さい頃から勉強ばかりしてきた。周りに負けじと、より良い大学に行こうと、青春丸ごと学問に捧げた。だが、大学に入っても苦労する事は変わらなかった。昼夜教授とかの偉い人からの質問という名の厳しい攻撃に晒されて、何度も心が折れそうになった。院にも行き、研究を続けた。国家研究員になってからは待遇に対して不満はなかったが、研究というのは地味な努力の繰り返し。辛いこともたくさんある。

だが、今なら思う。私は研究どころか、働くことすら向いてない人間なんだと。可能なら、楽に生きたかった。今、それが叶った。何も、考える必要もない。私は、考えることすら不向きである。


さあ、堕落するなら堕落しろ。もし仮に大洪水が起こるのならば私の死後に起きてくれ。私は、一緒に堕ちてくれる仲間を探しにいく。

私は、友人のところに向かった。


「劉じゃないか。宇宙人の持ってきてくれた、全身化学的快楽剤っていうのがあるんだ。まじで気持ちいいらしい。一緒に来てくれ。」


「それって麻薬じゃないのか?やめろ、お前死刑になるぞ!」


「何、お前宇宙人によって国家システムが解体されたの知ってるだろ。多くの法律が宇宙人によって廃止されたことも知っているだろ。今更なんだ。行こうぜ。」


「そうだったな、何言ってんだいるんだ私は。」


かつて、政府機関があり、今は全身化学的快楽剤というものが体験できる施設に入る。

「これは、堕ちているな。」

空間全体に、退廃的な雰囲気が漂い、どの人も無気力そうな顔をしている。眠気を誘うナトリウム灯の光が身体中に当たる。


「なあ、やっぱり帰らないか。ここ怪しいぞ。」


「何、お前は目の前の快楽を手放すのか。皆蟻のように働いていた旧時代ならまだしも、この新時代でそんなことをするなんて愚の骨頂だ。さあ、一緒に入ろうぜ。」


全身化学的快楽剤というものは、密室に放出されたエアロゾルを吸って、愉しむものがだった。私は、ここに毎日こようと思った。


「お前も、これがいかに気持ちがいいことかわかったならいいんだ。さあ、毎週、いや、毎日通おうぜ。せっかく近くにこんな施設があって、タダで享受出来るからさ、何、やらないという選択肢はないに等しい。」

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