第37話 祭壇
冷たい水が全身にぶつかり、意識がない状態で、川の中に投げ出されてから時間が経っていた。スネークに吹き飛ばされた瞬間の衝撃は、体を強く引き裂くような痛みとなり意識の回復を妨げている。そのため、水の流れに逆らうこともできないまま、川の流れに身を任せていた。
(・・・・・・)
全く意識が戻らない状況で、冷たい水が容赦なく身体の体温を奪っていく。流されるままに、ただ時間が過ぎていた。
ようやく、何か硬いものにぶつかり、ロイは岸に打ち上げられた。息はしているものの起きる気配がない。それから2時間経つと、視界が霞みながらもぼんやりと、目をさました。その時、肺に刺すような痛みが広がる。身体を動かすことができないまま1時間が経ったところ、何とか体を起こすことができるようになり、周囲を見渡す。
「ここは....どこだ?...」
ロイは重い体を引きずりながら立ち上がり、ボロボロになった体を支えながら必死に立つ。全身が痛み、動くたびに刺されるような感覚が広がるが、気力を振り絞って歩き出す。周囲は静まり返っていて、何の音もしない。川のせせらぎだけが耳に入る。
「俺は....まだ...生きてるのか...」
口からこぼれた言葉は、自分自身への確認のようなものだった。死んだかと思ったが、まだ生きている。その事実に驚きながらも、どこに休息できる場所を探す。目の前に広がる景色は、暗い森と岩に囲まれた谷底。だが、その奥に不気味な建物が目に入る。
「こんなところに.....神殿?」
風化した石造りの建物が、まるで時を超えて存在しているかのように、静かにそこに佇んでいた。ロイはその不気味な雰囲気に一瞬ためらうが、限界を迎える前に、何とかその神殿へとたどり着くことを決意する。
「休まないと.....このままじゃ身体が持たない」
身体の痛みを耐えながらも、ゆっくりと神殿へと歩みを進める。
神殿の入り口は、風化した
「何なんだ...ここは」
ロイは警戒しながら剣を抜き、慎重に歩を進める。痛みが残っている状態で動きは鈍いが、周囲を警戒する余裕はあった。神殿の内部は広く、古代の壁画や彫刻が壁に描かれている。かつてこの場所が何らかの重要な役割を持っていたのかもしれないが、何を示しているのか分からないため、詳細不明だ。
歩みを進めると、神殿の中央に祭壇が見えてくる。その上には一振りの剣が輝きながら岩に挟まっている。ロイはその剣に強く惹かれ、無意識のうちに近づいていた。
「なぜ、こんなところに剣が...?」
祭壇の上に挟まっているその剣は、まるで夜空を切り取ったかのような刃を持ち、
「この剣は.....」
ロイは、挟まっている剣を引っ張ってみると、抜けないかと思いきや、するりと抜けてしまう。剣を手に持つと、馴染み過ぎて、今まで一緒にいたかのような
「まるで俺を待っていたかのような・・」
剣を握ると、不思議な感覚が全身に広がり始める。それは体の中に眠っていた何かが目覚めるような感覚であり、同時に自分が何か大きな力を手にするのではないかと思った。
「この剣は普通じゃない・・」
その瞬間、剣に秘められた力を感じ取る。その刃は夜空と星々を映し出し、無限の力を秘めている気がする。だが、まだその力の全貌は分からない。祭壇の下を見てみると、何か書いてある。
《この剣を持つ者...剣の
《...剣の名は.........〔スターナイト〕》
(剣の頂・・スターナイト・・・)
「これは...俺に与えられた運命・・?」
ロイは呟きながら、剣を腰に収める。剣を持ってから身体の痛みが和らいでいくのを感じる。それから外の状況を確認するため、一旦、神殿の出口に向かって歩き出した。
神殿を出ると、辺りはすっかり静まり返っている。谷底の川のせせらぎが遠くに聞こえる中、街まで戻れる道があるか確認するため、帰るべき道を探した。
「これじゃあ..帰れそうにないし」
「無理に帰ろうとすれば、生き延びられそうにないな」
今日はスネークに遭遇してから剣に出会うところまで、大変な状況だったからか、体力の限界を感じていた。剣を手に入れたことで希望は見えたものの、今すぐにどうにかなるわけではない。そのため、ここで休むしかない。
「しばらくここで...休むか・・」
深い息をつき、体を休めるために神殿の中に戻る。剣の力によるものなのか、痛みがある程度落ち着いている。しかし、蓄積された疲れを取ることはできない。そのため、体が意識を奪おうとしている。ただ、〈スターナイト〉を手に入れたことにより、一筋の希望がある。
あれから、時間がどれだけ過ぎたのか、ロイには分からなかったが、気がつくと、神殿の床に横たわっていた。体の痛みは無くなっており、頭もクリアになっている。ゆっくりと身体を起こすと、剣を握りしめる。
「もう大丈夫そうだな・・」
(ここで、修業するか・・?)
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