第33話 Eランク昇格
神殿の調査を終えてから、街に戻ると、いつも通りの
「神殿のあの文字・・」
「あれが何だったのか...誰かに聞いてみようかな?」
一瞬考えるが、すぐに頭を振ってその考えを振り払う。特に急ぐ必要もない。今は目の前のことに集中するべきだと思い直し、軽く深呼吸をした。
「よし、まずは、飯でも食おっと」
小腹が空いていたロイは、街の食堂に立ち寄ることに。暖かい匂いに包まれた店内に足を踏み入れると、カウンター席に腰を下ろし、簡単な料理を注文する。
(問題はなかったけど、不思議な神殿だったし、何か疲れた・・)
「今日ぐらいは、のんびりするのも悪くないな..」
周囲を見渡しながら、ふと考えた。これまでの冒険者生活は順調で、依頼もまだ少しだが、失敗せずにこなしている。特に危険な目にも遭わないし、少しずつ自身の存在感も増してきている。だが、心の奥底で、何かが物足りないような気がしていた。
(まあ、焦ることもないけど...どこか物足りない・・)
そう思いながら、料理が運ばれてくるのを待っていると、料理が運ばれてくる。
「お待たせしましたー。注文のお品になりまーす。」
「熱いので、ごゆっくりどうぞー」
注文した料理がきて、食事を楽しんでいると、突然店のドアが勢いよく開かれた。顔を上げると、若い冒険者が息を切らしながら駆け込んで来たのだ。
「誰か!すぐに手を貸してくれ!」
「街の北西の森で魔物が出たんだ!」
店内がざわめき、客たちは一斉に若い冒険者の方を振り向く。冒険者たちも何人か顔を見合わせたが、すぐに動き出す者はいない。そんな時、ロイは箸を置いてすぐに立ち上がり、その若い冒険者に近づく。
「魔物が出たって?どんな状況なの?」
息を整えようとする彼に、冷静に問いかけた。若い冒険者は震える声で答える。
「ゴブリンだ!いつもより凶暴で、数が多いんだ.....!」
「俺たちだけじゃ太刀打ちできなかった、、、。」
その言葉を聞き、すぐに動き出す。ゴブリン。Eランクのモンスターだが、数が増えれば厄介な相手だ。特に訓練が足りない冒険者にとっては、危険な状況になるだろう。
「どこなの?場所を教えて!」
「街の北西の森の入り口だ!」
「仲間が戦ってるけど、もう持たないかもしれない…!」
その言葉を聞いたロイは、若い冒険者を安心させるように軽く肩に手を置き、すぐに食堂を飛び出す。
「いや、君はまだ子供なんじゃ、、」
「あっ、、まって、、、、」
若い冒険者の止める声を聞かずに、森の入り口に向かう。そのまま走りながら、頭の中で戦いの準備を整えていく。
森の入り口に到着すると、遠くから戦いの音が聞こえてきた。ロイは剣を抜き、すぐにゴブリンの群れへと駆け込んでいく。視界の先には、何人かの冒険者がゴブリンに囲まれて戦っているのが見える。
「やっぱり数が多いな・・!」
冷静に状況を見極めながら、すぐに戦闘に加わった。剣を滑らかに振り下ろし、次々とゴブリンを倒していく。
「ふん!」
「ぐぇぇぇぇぇ」
「はっ!」
「ぐぎゃぁぁぁ」
ゴブリンたちはまとまりのない動きで襲いかかってくるが、ロイの動きの前ではほとんど無力だった。
「これで終わりだ!」
最後の一撃を放ち、残っていたゴブリンを全て倒した。周囲が静まり返り、森の入り口には倒れたゴブリンの死骸が散らばっている。ロイは息を整え、剣を鞘に納めた。
その場で戦っていた別の冒険者が駆け寄ってきて、安堵の表情を浮かべていた。
「ありがとう、本当に助かったよ!」
「気にしなくていいよ」
「俺もこの街で暮らしてるんだ。助けるのは当然だろう?」にししっ!
ロイは軽く笑いながらそう言う。その言葉に、若い冒険者もほっとしたように笑みを浮かべた。
そのまま、ロイは再びギルドに戻り、今回のゴブリン討伐の報告を行う。ルルカは、ロイの無事を確認すると、感謝の意を込めて頭を下げる。
「ロイくん、この度はありがとうございました....!」
「ロイくんのおかげで、助からなかったかもしれない命が、助かりました」
「本当に、ありがとうございました!」
「討伐場所であった冒険者の人にも言ったけど」
「俺もこの街で暮らしてるんだし、助けるのはあたりまえだよ」
「ありがとうございます」
「無事に終わって良かったです.....報酬も、すぐにお渡ししますね」
「今回の急なゴブリン退治に参加して頂いて、街と冒険者を救って頂いたので」
「大銀貨3枚をギルドからお渡しさせて頂きます。」
「また、今回の活躍により、ロイくんをEランクに昇格させていただきます!」
「ほんとに!? よっしゃーーー!」
「ふふふ。ステータスカードもご確認くださいね?」
「ほんとだ!ありがとう!」
ロイはEランクに昇格にしたことを、飛び
「よし!次からは挑戦しがいのある討伐依頼にしようかな」
そう
翌日、ギルドに顔を出すと、ルルカが新たな依頼書を差し出してきた。
「ロイくん。ロイくんはEランク冒険者になりましたので」
「本日から正式にモンスター討伐が受けることができます」
「それで今日の依頼では、討伐依頼いくつか出ているんですが、こちらはいかがですか?」
ロイは差し出された依頼書に目を通す。それは、Eランクのコボルト討伐依頼だった。コボルトはゴブリンほど強くはないし、2回も討伐したことがある。しかし、数が多くなると厄介な相手だ。依頼の詳細を読み終えると、ロイはその依頼を受けることに決めた。
「これを受けるよ」
「ありがとうございます」
「では、このコボルト討伐依頼をお願いします」
「もしかすると、森の中に巣を作っている可能性がありますので、十分にご注意ください」
「うん、ありがとう」
依頼書を受け取り、正式なコボルトの討伐依頼は初めてだが、特に緊張することもなく、冷静に準備を進めた。
装備を整え、街の外へと向かい、森の中に潜んでいるコボルトを探す。静かに森の入り口に足を踏み入れ、周囲の気配を探りながらゆっくりと進んでいく。
「この辺りにいるはずだが・・」
歩を進めていくと、突然何かが茂みの中から飛び出してきた。コボルトだ。小柄で
「来たな...!」
「はっ!」
「ぐぇぇぇ」
一体を倒したが、次々とコボルトが姿を現し、数が増えていくので少し焦りがでた。しかし、それでもロイは冷静に立ち回りながら、次々とコボルトを倒していく。
「はっ!」
「ふん!」
「せい!」
「「「ぐぎゃぁっ」」」
「ふぅ~、、思ったよりも数が多いな...」
コボルトの群れを全て倒し終えると、深呼吸をする。だが、すぐに再び周囲の気配を感じ取り、体を緊張させた。どうやら、コボルトの巣が近いようだ。
(ルルさんには、コボルトの巣に注意しろと言われたけど・・)
(ここで全部片付けておかないと危険だろうしな・・やるか!)
ロイは剣を握り直し、さらに森の奥へと進んでいく。森の中は薄暗く、時折動物たちの鳴き声が聞こえてくる。注意深く進みながら、コボルトの巣を探すと、ようやくそれらしき場所にたどり着いた。そうすると、巣穴の中からさらに多くのコボルトが飛び出してきたのだ。
「「「「「ガルルルルル」」」」」
「やはりここか.....!」
ロイは剣を構え、再びコボルトとの戦いを始めた。数の上では圧倒されそうな状況だったが、冷静に一匹ずつ確実に倒していく。剣の動きは正確で無駄がなく、コボルトたちは次々と倒れていった。
「はっ!」「ふん!」「せい!」
「よし!これで最後だーー!」
「ぐぎゃぁ」
最後の一撃を放ち、巣から出てきたコボルトたちを全て倒した。周囲に静けさが戻り、森の中は再び静寂に包まれる。
ロイは剣を鞘に納め、ゆっくりと森を抜けて街へ戻ろうとする。
これで正式な初のモンスター討伐依頼を無事に終えたのだが、さらに次の挑戦に向けての心を燃やしているのだった。
「ふぅ~。コボルト多すぎて疲れた・・・」
「まぁーでも、まだまだこれからだよな・・」
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