第13話:大阪駅前第三ビルの階段
大阪駅前第三ビルの地下1階と2階には、隣のビルとも隣接した広大な飲み屋街が広がっている。
ビジネス街の真ん中で交通機関へのアクセスも良好なことから、夕方になるとサラリーマンや大学生が多く集まるにぎやかな場所だ。
その日は先輩二人と飲むことになっており、先に阪急梅田のビッグマン前で一人と合流して約束の店を目指していた。
私たちはあまり地下街の導線に明るくなく、たどり着けるか不安になりながら梅田ダンジョンを進んだ。
途中、谷町線のあたりで道を間違えたりしつつも、何とか駅前ビルがある辺りに辿り着いた。
しかし、多層構造になっている関係でグーグルマップを見てもよく分からず、一度地上に出てから探そうということになった。
エスカレーターで地上に出てマップと照らし合わせ、ようやく「このビルの地下二階だ」というところに来た。
ビルに入って、重いガラス扉の先に階段を見つけた。
縦長の空間に無機質な階段というのはいかにも雑居ビル的で好きだ。
ガラス扉を開けて先輩と地下に下りて行ったのだが、なぜか扉が現れない。
踊り場を通って次の階に行っても、左右の壁が白いままなのだ。
おかしいなぁと思いながら五階分ほど下りて、ようやく地下二階に到着した。
先輩に「階段長くなかったっすか?」と尋ねたが、「別に?」という反応だった。
地下街へは距離もあるのでそういうものかと思って飲み屋へ向かった。
後日、別の友人と同じ場所で飲むこととなり、階段を確認しようと同じルートで行ってみた。
すると、普通に二階分下りたら地下だった。
それ以来、あそこの階段は気味が悪くて使っていない。
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