第5話 ゴーレム

次はゴーレム風俗店を思いついたが、なにせゴーレムは硬い。


男というのは、性行為の相手に対して優しく包み込むような柔らかさを求める。


うーむ、ゴーレム風俗店はボツかなあ。


そう思っていた矢先、俺はミラージュに相談してみた。


「なあ、ゴーレム風俗店を思いついたんだが、いかんせん、ゴーレムは硬い。

 抱きついてもごつごつしていたくてダメかなあ?」


「ん? 何か悩んでいると思ったら、そんなことか、社長。

 スライムジェルをまとわせればいいじゃないか。」


なるほど!


その手があったか。


さすがミラージュだ。


「やるな、ミラージュ。

 君もエロの発想に磨きがかかっている様子。

 いい傾向だ!

 普段は澄ましていて、けっこうむっつりなんだな、ミラージュは。」


「にゃにゃにゃ、にゃにを言う!

 わ、わ、私はむっつりなどではないぞ!」


「ふふ、じゃあガッツリスケベか?」


「ばかもの!!!

 私は断じてスケベではない!

 社長の悩みについて真剣に考えたまでのこと!」


まあ、からかうのもこのへんにしておこう。


「ありがとうな、ミラージュ。」


俺はミラージュに礼を言うと、早速、ライムに相談した。


「この前のスライムマウスピースみたいな感じで、全身を覆う、スライムスーツなるものは作れないか?」


「うーん、できなくはないが、製造できる数は少ないぞ。

 なにせ、全身を覆うんだ。

 歯を覆うのとは、スライムジェルの量が違いすぎる。

 それに、これももちろん使い捨てだ。」


うーむ。問題ありだな。


ん、そうだ!


俺はあることをひらめいた。


それはこうだ。


ゴーレム石材店で人間の形を模した石人形を調達する。


そして、顧客の好きな女性のタイプをアンケートし、そのイメージをミラージュの能力で石人形にダビングする。


さらに、その石材の陰部に穴をあけ、そこにスライムジェルを注ぎ込めば、ゴーレムダッチワイフの完成である!


俺はすぐにゴーレム石材店に石人形を注文した。


---


数日後、注文した石人形が届いた。


すごく精巧な造りだ。


これに人間の映像を投影させれば、さぞかし素晴らしいダッチワイフができるぞ!


俺はミラージュを呼び出した。


「ミラージュ。これをダッチワイフにしたい。

 人間のイメージをダビングしてくれ。」


「だ、ダッチ・・・ワイフ?

 なにそれ?」


「ああ。

 女性の身体を模した疑似性交道具だな。」


「お、お、お、お前はなんという破廉恥な発想をするんだ!

 どれだけ変態なのだ!?」


この世界にダッチワイフなるものは存在しないらしい。


この世界はアダルトグッズもあまり無いし、前世の記憶からアダルトグッズを量産すれば大儲けできるな。


「まあ、アダルト発明の父とでも呼んでくれたまえ。」


俺は自慢げに言った。


「褒めとらんわーーー!!!」


「じゃあ、女性警察官を投影してみてくれ。」


「んんんんんん!!!

 ダビング!!!」


ミラージュは石人形に女性警察官をダビングした。


「おお、すごい!」


それは石人形の域を超え、人間そっくりになった。


そこにライムを呼び寄せ、石人形のお股にスライムジェルを流した。


そして、俺は俺の棒を入れる。


おー、スライムジェルはもちろん気持ちいい。


そして、なんといってもこの石人形。


理想の女性を投影できてしまう。


これを商品化すれば、飛ぶように売れるぞ!


俺は早速、ゴーレムダッチワイフを売りに出した。


しかし、飛ぶようには売れなかった。


なにせ、値段が高い。


いろいろと手間がかかるのだ。


アンケートを取って、ミラージュが投影する。


この作業に思ったよりも手間と時間がかかるのだ。


顧客の理想の女性とミラージュのイメージのすり合わせが難しいのだ。


まあ、金持ちか、一生に一度の買い物と覚悟を決めて買ってくれる客かの2択。


販売数は少ないが、単価は高いので、売り上げとしては十分であった。


すると、ライムが俺に声をかけてきた。


「社長、スライムジェルの出番多くない?

 私、会社にすごい貢献してるし、時給あげてよ!」


たしかに、毎度毎度スライムジェルが登場していて大助かりだ。


時給をあげてやろう。


「1.2万グラナにしよう!」


「やった、さすが社長!

 お礼にサービスしちゃう!」


すると、ライムはおもむろに俺のズボンを下ろし、咥える。


「じゅぼ、じゅぼぼぼぼーーー!!!」


俺は一瞬で昇天。


スライムの口はやっぱりすごい。


生暖かいジェルで俺の棒と脳はとろけてしまった。


「あ、ありがとう。ライム。

 最高だったよ。」


「どういたしましてー!」


最高の天職だー!


と改めて思うのであった。

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