第4話 ビデオ制作
俺は、今まで借金返済に充てていた資金を、アダルトビデオ制作にまわすことにした。
まずは、映像を作れなければいけない。
俺はギルドに向かった。
ここには、自分の経歴や能力を登録しておくことができる。
履歴書のようなものだ。
そして、その能力を必要としている人が、ギルドを通してスカウトできるのだ。
俺はギルドの受付に尋ねた。
「なにか映像系の能力者はいないか?」
「それなら、ダビングの能力者がいます。」
「詳しく説明してくれ。」
「『ダビング』は、その者が見た映像を録画し、それを特定の物体にコピーできます。
その物体を使って、映像を再生できます。」
「その物体とは、石材、木材、何でもよいのか?」
「ええ、そのはずです。」
便利な能力だ。製作したアダルトビデオを売るのに最適だ。
石材はゴーレム石材店で入手できる。
さて、このダビング能力者と会う必要があるな。
「この人物、スカウトしたい。
呼び出してくれ。」
「承知しました。
この人物は明日の正午であればギルドで会うことができます。
この日程でよろしいですか?」
「ああ、たのむ。」
こうして、俺はダビング能力者と明日にギルドで会うこととなった。
---
明日、正午。
俺はギルドの受付にいた。
「約束の通り、正午に来たんだが、ダビング能力者はいるのか?」
「はい。
あちらがミラージュ様にございます。」
「あの、緑色の長髪をした女性か?」
「はい、そうです。」
俺は緑色の髪をした女性に声をかけた。
「やあ、君がミラージュかい?」
「ああ、そうだが?
スカウトしに来たと言う者か?」
振り返ると、美少女ではないか!
ミラージュをうちの店の嬢として働かせるのはありか!?
とまあ、冗談はそのくらいにして。
「ああ、君をスカウトしに来た。」
「で、私に何をしろと?」
「アダルトビデオの収録および商品化を願いたい!」
俺は正直に単刀直入に言った。
「アダルトビデオとはなんだ?」
「うーん、性行為を録画して商品にしたものだな!」
「な、な、な、何を言うか!
そ、そ、そんなことに私の能力を使うでないわーーー!!!」
彼女は恥ずかしがっている模様。
顔が真っ赤だ。
「まあ、落ち着いてくれ。
金は弾むさ。」
「金の問題ではない。
私の両親になんと説明すべきか・・・。」
「黙ってればいいさ、真面目だなあ、君は。」
「ま、まあそうか。
で、いくら私に入る?」
「ビデオ1本1000グラナとして、15%だけ君に入る。
そうすれば、1万本売れれば、君には150万グラナが入る。
悪くない話じゃないか?」
「おお、すごいじゃないか!
その話、乗ったぞ!」
こうして、ミラージュがメンバーに加わった。
そして、俺は石材を買い集め、準備は完了。
女優は嬢だが、男優はだれか?
もちろん俺だ。
しかし、俺は引きニート。
全国に顔をさらすようなことは避けたい。
だから、仮面をかぶってビデオに出演することにした。
さて、いざ撮影開始だ。
相手はワーウルフのルナ。
ケモノのもふもふを堪能し、性行為の様子をしっかりとミラージュに撮影させる。
ミラージュは終始赤面であったが、さすがは撮影のプロ、仕事はしっかりしている。
撮影は無事終了した。
「どうだ、ミラージュ。
しっかり撮れたか?」
「あ、ああ。
私はこう見えても処女だぞ。
処女にこの仕事はなかなかきつい・・・。」
こう見えてもって、どう見たって処女の反応だったぞ・・・。
よし、あとは四角形の石材に映像をダビングすれば、石材を叩くだけでその石材に映像が再生される。
「ミラージュ、ダビング頼んだぞ。」
「まったく。
なんでこんな仕事してんだか・・・。」
「これも立派な仕事だぞ?
世の紳士を楽しませることができるんだから!」
「ま、そう言われればそうなんだがな・・・。」
ミラージュは文句を言いつつも仕事を始めた。
こうして、この異世界初のアダルトビデオは量産され、世に売り出された。
効果は絶大、人間の男に飛ぶように売れた。
やはり、どの世界も男はエロが大好きなのだ。
そして、ビデオに出ていたルナ目当てで来るお客さんも大量に増えるという現象も起きた。
アダルトビデオは自社のビジネスの広告塔にもなったのだ。
「ミラージュ、君への報酬だ。」
俺はミラージュに大金を手渡した。
「うっひょおおお!
こんなに稼いだのか、社長!」
今は上手くいっているが、アダルトビデオを販売しようとする他社は必ず現れる。
その会社にミラージュが引き抜かれないよう、細心の注意を払わねばならん。
「ああ。
他の会社に転職とかするなよ?
君のダビング能力は俺だけのものだ!
いいね?」
「ま、まあいいわ。
あんたのとこにいるのが一番稼げそうだし。」
「現金なやつだな、ミラージュ。」
「はっはっはっは!
ビジネスチャンスは逃さないからな!」
こうして、アダルトビデオ事業は成功を収めたのだった。
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