R-15 乱心 当該話には自殺未遂に関する内容が含まれます。
そんなののどこが可愛いんだろう。身内同士の間で無理矢理育まれた生命なのに。
いっそ死ぬか、男に産まれて殺されていれば――タマル冠だって、あそこまで追いつめられずに済んだだろうに。
「
だからもう、赤ん坊をあやすのは止めて。
「子供返りもいい加減にしろ。その態度も女を知れば少しは改まるんじゃないのか、
驚いて、視界から一切の色が消えた。
「聞きましたよ。
「私は泣いてない。勝手に決めつけないでください」
ああ気持ち悪い。理解者面して抱き着くなよ。と思ったら、
「ねえね……あたくしだけ生きててごめんなさい」
「っ、まさかそれ、
「ええ。それと
――
あたくしは最期まで付きっきりで、ねえねのお世話を命じられていました。
といっても、いつも通りお喋りして甘えていただけで、はたから見れば、どちらが世話係なのやらという感じでしたけど。
いつまでも楽しく過ごしていたら、あたくしはついうっかりと、
でもあたくしが取りに行くのを忘れたせいで、最後なのに食事抜きになりそうでした。ねえねは笑って許してくれたけど。
そこへ
「あれからずっと。アンタにええ名前考えとったんよ、あやぎり、って」
知らないし、全く興味も沸かない女の処刑話を聞かされるなんて、どんな睦言だ。
「だから、だあい好き。
もしかして。もしかして。
あれから何度か、
「うっううっ……、どうして、どうして赤ちゃんばっかり~。もうおれのことなんか、皆どうでもいいんだろっ。知らない知らない、そんなヤツ大っきらい。泣き声もうるさい……さっさと死んじゃえ」
「
「……ぜったいにいやだっ、だってほんとの事だもん。なんでおれが
「姐さま、放って置きましょう。そんな人、気にする価値も無いのだから」
俺は無言で産屋を出ていき、そのまま居室で一思いに、タマル冠の真似をした。とても痛くて苦しくて、自分でやったことなのに寂しくて、やがて全てが暗澹に包まれた。どこか遠くで物音がして、最期に聴きたかった声もする。でも何を言っているか、結局全然わからなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます