情なし
浮かれたハイタークめ、たかが軽傷を負わせた程度で愚図愚図しおって。
さっき逃げた
お陰で命拾いした
「もうおしまいだ。
「仰々しいなあ、たかが怪我した程度じゃないか、それも俺の為に。見棄てる訳がない」
「おい
「ご心配どうも。さすがサルヌリ朝の最強格は一味違う、敵にも情けが深いと見える。なあ、ハイターク殿。後ろの寵姫の見事な頸飾は、
あからさまに動揺しおって。この救いようのない痴れ者め。
にいさま、いかがいたします。
「あーあ、しくじったか。喉元など大して目立たぬのだし、おのが美貌に自信を持って、堂々と臨むべきであったな~」
「それもどうだか。ヒイナに面通しさせれば済む話だ。さっき遠目に見させたが、すぐ正体に気付いて怯えっぱなしだったぞ」
「
「これは異なり。理解に苦しむ自己紹介だな」
「ふーん、どうやらまだ自覚のないようだ。あるいは、徹底した秘密保持のなせる技かな」
「ええい、気の悪い。勝手に人の手を取って頬擦りすな」
「たはは、
「つまらん脅しを。
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