R-15 澪標
私は、唯唯驚き呆気にとられたが、
「優しくしてね。じつは俺、まだなんだ」
そう言いながら、
「うう……いたい、あっいいからいいから。止めないで、ちゃんと頑張るから、お願い」
それでも一夜が過ぎると、流石に心配が勝ってきた。明くる日の昼頃戻ってみれば、部屋の中には
私が近付くと、
「
「だって、好意を最大限活用するにはご褒美が要るでしょう。そんなことより門客、良い話がある。俺と一緒に
「いやいや、誰だそれは」
「あの盛り場の女の正体。求婚者に追い回されて、王朝の宗女はもう限界だ。俺に禅譲するとか莫迦抜かしやがった。そんなの誰も得しないから断ってやったけど」
「そりゃ賢明な判断だな」
「でもさ、本人にやる気がないなら、あとはもうこっちのもんだよ。力をつけて機会を伺ってる奴等や、宗女周りの無視出来ない氏族をいくつか落とそう。才を請われてあちこち渡り歩く門客なら、其れがどこのどいつか分かるでしょ。そうして俺と、本物の政をしよう」
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