阿魔と阿諛
「聞いたで。あんさんも隅に置けまへんなぁ。あない強い旦さんやのに、アンタにかかればただのあかんたれや」
「どうせ飽きる。今は俺が若いから、少しくらい夢中になってるだけ。俺がもっと年食ってたら、初めっから好きになる訳がない」
「あれあれ、まあまあ」
「だからそう簡単に成就したら終わりだろ。大人になったら頼まれなくてもおさらばしてあげるんだ。もうちょっとの辛抱なんだし、むしろ感謝して欲しいね」
「それで蛇の生殺しなん。かわいそ過ぎて笑けるわ~」
「おい居たぞ、この
前回とはまた別な単独犯の追っ手が、すぐそこまで迫っていた。
「止まれ。掻っ切るなんてすぐ出来る」
「こんのっ、己が何をしているか分からぬか。今すぐ手を離せ」
「分かりませ~ん。やっぱりただのスリや食い逃げ犯じゃなかったか。無事に身柄が欲しけりゃ人質代寄越せ。安いもんだろ、戻って来るまで俺が捕まえてると思えば」
追っ手は渋々どこかへ走り去った。
「あらええの。人質代が逃げてくで~」
「そんなの貰える訳ないだろ、増援呼んで来て俺はおしまい。そっちこそさっさと逃げなよ」
「奇遇やね。もうこれ運命ちゃう」
「致命的の間違いだろっ」
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