R-15 足元を掬う
「おじさま優しいっ、他の人とは全然違う……もっと一緒に居たい」
「まあ良いが、興が乗ってきた。見苦しいから隅に行って壁を向いていろ」
離れて壁向きに座った途端、背後で衣擦れの音がした。時折小さな水音も響く。
「やっぱりこっちに来い……そうそう、こうやって手で……」
「うわわ、何かすごい。え、何で動くんですか」
「雰囲気だ、雰囲気。こうしているとまるで――」
「おかしらー、ちょっといいっすか。うわああっ、すんませんっしたあ」
そこへ野盗の手下がやって来た。二人が抱き合って座った状態のまま視線をそちらへ向けたところ、手下は慌てて立ち去った。
「あの愚か者め、女相手じゃないんだぞ。何を勘違いしておるか」
「あはははっ、面白ーい。……ねえ、おじさま。本当は昔結構偉かったんでしょう。俺分かっちゃった~。端々の言葉遣いで」
「まさかあなたは――
「なんだお前、
「なあに勘ぐってるんだか。この人はただの兄弟子さん。そうですよね、門客」
「そうだな、……残念ながら師匠はとうに亡くなってしまった」
(はなからどこにもいないがな)
連れ去り後の経緯を聞かされ、
「
「そりゃあいい。某と都へ行こう」
「ありがとうおじさま、大好き」
「待て、私も同行する」
都へ到着し、
「
それと同時に脛を蹴飛ばされ、油断も相まって
「なんだつまらん。まだ生きていたのか」
「ざまあみろ。もうとっくに愛想も尽きた。今日で俺の
あー可笑しい。
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