やさぐれ者
私は騒ぎに起きてきた
「
「へー、ようやくアイツもくたばったのか。思ったより呆気なかったな~。まったく王朝の混乱のせいですっかりこの辺も物騒に、よし。明朝には出立しよう」
一方その頃の
「獲物はたったの子供一人、ふざけるな。貴人の子女でもないから人質代すら稼げん。即刻人買いへ売っ払え」
「待ってください。俺でもなにかお役に立てば、ここに置いていただけるのですね」
余計な一言で即殴られ、
「なんだこの、受け身も取れないド素人が。そんな小綺麗な手で、武器を扱った事すら無かろう。……まあ見てくれは悪くない。一つだけ使い道があったな。酌をしろ」
野盗の
「そんな無茶な呑み方しないでください。今に血を吐いて倒れるかも」
「ハッ、悠長なもんだな。やっこには酔い潰れた方が都合の良かろう」
すると
「ひどいや、すっごく悲しい……。おじさまは、早くに亡くした父によく似てるから、つい。……ごめんなさい、ちゃんとお酌をしなくちゃいけないのに。何だか涙が止まらない」
予期せぬ展開と急な涙に気圧され、野盗の
「そうだったのか、それは気の毒だったな……」
「今の
「……でも全部俺が悪いんだ。俺が悪い子だから家を出されたし、父上も死んじゃったんだ……だからおじさまが何をされても我慢するね。でもまた泣いちゃったらごめんなさい、沢山謝るから殴らないで」
「安心せい。そんな輩と一緒にするな、さっきは殴って悪かった。もうお前には何もしない」
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