釣果
「今日は単なる顔合わせ、くれぐれも粗相のないように。――よいな」
「はい
奥まった庭まで辿り着くと、まるで童女の様な召し物の、か細い背中が屈んで手鞠をついていた。
「領主」
「手鞠ぐらいよいではないか
「それは構いませんが、また少し髪が伸びましたね。これ以上かかると目も悪くなる。切ってしまいましょうか」
「えーいやいや、前髪はこれ位の方が可愛ゆきものぞ。……でも
「あれえ、知らない子」
「たまには趣向を変えて、年の近い者の方がよろしいかと思いまして。こちらは席を外しましょう、その方が話しやすいでしょうから。何かありましたらすぐお呼びを」
あーあ、
「さてと。領主、前髪は少し切り揃える程度に留めておきましょうか」
「若いのに耳が遠いのか、
「それは
「う~ん。ちょっと良いかも、いやちょっとじゃないな。もうだめ我慢できない」
気が付くと
「ねえねえ
「いえそちらではなく、むぐ」
口を塞いで舌を追ってみたところ、返って来たのは戸惑いの反応で。こんな顔もするのか、すました顔よりずっと良い。
「へ、あ、あー。その。お気持ちはうれしいですが、領主のことまだ何も知らないし」
「じゃあ知ったらすきになるかな」
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