七つの子
烏 なぜ啼くの
烏は山に 可愛七つの子があるからよ
可愛 可愛と烏は啼くの
可愛 可愛と啼くんだよ
山の古巣に 行つて見て御覧
丸い眼をした いい子だよ。
✶
労いも褒め言葉も一切無かったが、なんとか殺されずに済んだだけで上々だ。――
「おいそこの。こっちゃ来い、
見知らぬ下働きと思しき女に着いて行くと、ひっそりと佇む簡素な造りの一軒屋にたどり着いた。
「おお~よしよし、さすがは儂の子じゃ。ほうれ、高い高ーい」
「キャッキャ、じいじー、もっとー」
「んもう、
――やっべ、忙しくて完全に忘れてた。もはや産まれるどころか歩いて喋ってやがる
「おお来たか、待ちくたびれたぞ」
「何じゃ、そんな化け物でも見たような顔をして。飲め飲め、冷えたら白湯の意味が無い」
「頂戴します。つい、歳月の重みを噛み締めておりまして」
「おう。
「それが
「逆じゃ、逆。乳母に甘える子は単なる結果。もう少しじゃ、頭を回せ」
「うーん、そもそも乳母は、ある程度の家なら珍しくもなんとも無い。生母に代わって、子の面倒を見る役目です。まさか
「悪い、だなんて生易しいものではないのう。何せ物心ついたばかりの息子も、領主の分家筋に当たる夫も、全て投げ捨てた憎き女。先の領主に見初められてな」
「それはそもそもが仕方ないのでは。領主の意向を一介の女が拒める訳もないし、お互い未練を残すまいと多少冷たく当たるのは、むしろ優しさではないですか」
「はー、ご立派ご立派。そうやすやすと割り切れれば、世の中誰も苦労はせぬわ」
「遅いっ、どこをほっつき歩いておったのだこの
七つの子
初出誌 ∶「金の星」 大正10年7月
作詞∶野口雨情
北茨城市歴史民俗資料館・野口雨情記念館公式HP
https://www.ujokinenkan.jp/ujo_noguchi/song20.html
(2024/07/30 23:53アクセス)
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