R-15 いずれ菖蒲か燕子花
人払いが解除され、俺は湯殿に行った。
「チッ、何でまだ粘り気残ってんだよ……」
時間経ったら段々と水っぽくなるもんじゃないのか、これじゃ出しずらくてしょうがない。
「
もう起きたのかよ、勘弁してくれ。あのあと仮眠するとか言っていたじゃないか。俺は無性に腹が立って
「よくもいけしゃあしゃあと、インチキ祈祷師のデマカセなぞ信じてないでしょうに」
「おうおう、言うようになったなあ。褥を共にしただけで正直になるのは実によい。次はそなたから求めるまで励もうか」
「失礼つかまつります。ご母堂様とご兄弟様方がお目通りを求めて参られました」
「何がご母堂だ。全員石でも投げつけて追い返せ」
そんなに身内が嫌いなのか。でもそれはそれで見たいかも。
「粒揃いの腰抜けどもよ。あやつら
遅めの朝餉は断って、与えられた居室で休ませてもらった。寝具に包まりうとうととしながら考える。
俺は今後どうなるのだろう。
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