10、ハロウィン

 友達からハロウィンに誘われた。結構な田舎で、仮装? 嘘でしょ。


 段々とハロウィンの日が近づいてきて、誘っておきながら集合場所とかの細かな予定が来ない。

 えぇ~い、我慢できない。こっちから連絡入れる!


 そう意気込んだとき、友達から連絡が入った。しかもVRをつけなきゃいけない。出掛けるんじゃないの?


 勉強はがんばるし、他のゲームはいらないから、そうやって交渉してきてようやく買えたVR。

 いつでも話せるようにってグループを作ったけど、それっきりで、高い買い物したのに一度しか使わなかったとか親に怒られる。そう内心緊張しながら過ごしてきた。


 かなり久々につける。操作の手順とか……まぁ大丈夫そうだ。


『うっそ、初期設定から変わってなくない?!』


 友達と繋がった途端、始めに言われることがそれって、悲しいし恥ずかしいんだけど。


『ま、いっか。ハロウィンだし仮装して、自分のキャラ作っちゃお?』


 場の勢いに乗るだけ。友達のアバターを追いかける。


『絶対やってほしい、猫耳〜』


 現実だと絶対やらないやつ。仮想現実だから、映像では残っても現実ではしてないから。

 ひらひらした、お姫様みたいな格好だって。どんな姿だって、なれてしまう。


『どうせなら幼女になる?』


 言われるがままに、設定を触り、きゅっとアバターが小さくなった。


『かぁわいい〜! 写真撮るよ』


 時間はあっという間に過ぎていて、そう思ったら、疲労が押し寄せてくる。良い疲れかも? と考えたら、「楽しかった」そう声に出ていた。


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