8、向日葵
写真立ての中で、お母さんはいつもやさしく笑う。
ちいさい頃だったから、モヤが掛かってるような記憶しかなくて。それでも、お父さんが泣いてるところを見るのはそれが初めてだったから、悲しいってことだけは覚えてる。
お母さんの誕生日に、お父さんは向日葵を買ってきて写真立ての前に置いていた。
お母さんが好きな花なの? って聞いたら、お母さんは花の贈り物は好きじゃないんだよって答えた。
中学生になるあたし。普段着てるものじゃなくて、制服に袖を通す感触が、なんかかっこいい。
写真立ての中のお母さんは、いつもやさしく笑ってる。でもそれは、被写体をいろんな角度から撮りAIが動きを予測し、全て繋げると動いてるように見えるというもの。
誕生日にお父さんから買ってくる向日葵は、素敵な花言葉があった。もしお母さんが生きていたら、なんて思うかな。
お母さんに、学校行ってきますと呟く。口が動いていて、返事がきたように嬉しくなった。
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