23話 自警団としての見回り②
「ここが武器屋で、防具屋」
飛行船の近くに一戸建てが2つ横にくっついた場所を指差す。
「武器屋? 防具屋? 魔法を使える世界にそんな店があるのか」
「魔法武器、魔法防具屋。って言ったほうが良かったかな」
「魔法武具ってヤツだな」
「そう。その魔法武器、防具屋の隣には魔法道具も売ってる、品揃えは結構いいと思うよ、武器も、防具もね」
「へぇ。それはなんで?」
「オレたちが色んな場所で道具や魔法石、武器や防具、魔法に必要な物を各地、うーん……例えば鉱山とかかな。そこで様々な道具を手に入れて、オレたちのギルド内に錬金術師って居るんだけど、彼らに頼んで武器や防具、魔法道具を作ってもらってる。その作ったものをこの街に売っているんだよ」
「錬金術師……あのギルドにそんな人たちがいたのか」
「そりゃあ居るさ。工房も、食堂も、管制室も、温泉も、たっくさんあるよ! さあ、次行こう」
タルトはそう言うとまた歩き始めた。
「ここは野菜とかを売ってる八百屋。結構安価で買えるんだ」
出店のようにテーブルや机の上に野菜や果物等を並べてある場所を指差す。
「結構品揃えがいいでしょ。これはオレたちが持ってきたものじゃなくてね、お店の店主さんたちが作った新鮮な野菜や果物を並べているんだ」
「ここらへんにある八百屋の全部がそうなのか?」
「うん、そうだよ。みんな自分たちで今出来る事を見つけてるんだ。偉いよね〜!」
にこにこしながらそう言ったタルトにリオは「お前も充分スゴイさ。お前だけじゃない、この街の人間も、ユラも、みんな、自分が今やるべきことを見つけてる。それは本来できることじゃない」とぽつり。
「ははっそうかな、面と向かって言われると、何だか照れるなあ〜」
タルトは頬を赤くしながら頭を掻いている。
「なあタルト」
「ん? どうしたの?」
「あそこにある十字架のオブジェが乗った建物は何なんだ?」
「あれ? あれは教会だよ」
「教会……」
「そう。この街では“ゼウス”という、全知全能の神を崇めているんだ。だからその教会にはゼウスを奉り、崇めている」
「神、か……」
「君たちの世界にも居るんだろう? 神は」
「…………居るには居る。居たとしても、無能な、神だ」
「……」
ジニアはタルトの質問に答えると、タルトの表情は一気に暗くなった。
「君たちはさ、人身売買って、知ってる?」
「……は?」
「人身、売買?」
「あ、いや、なんでもない! 今のは忘れてほしいんだ!」
「あはは」と含み笑いをしながらリオたちの方へ振り向いた。
「とりあえず街の説明はこれで終わり! あとは各自で回るなり、ギルドに戻るなりしてよ! 明日はコウモリたちと話をするんでしょ? だから今日は早めに休んで、明日の準備に備えなよ。んじゃあオレこれから警備の仕事があるから」
タルトはそう言うとその場を後にした。
「どうする?」
「戻るか」
「そうね。明日も早いだろうし、戻りましょ」
エリカのその言葉に2人は「そうだな」とそう言い、ギルドへと戻った。
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