18話 同盟
ジニアはリオのその言葉に「そっか!」とそのまま「ニッ」と笑みを溢した。
◇
「正直、断られるかと思ったんだ」
ツバキは椅子に座り、そのまま視線をモニターに移すとそこには、さっきまで誰もいなかった場所にコウモリが映っている。
「そうかな? 俺はリオくんたちは断らないと思ってたけどね」
「? そうなの? まぁいいや、君たちとの共闘の件、許可を出してくれて嬉しいよ」
「そりゃあね。だって魔族は強いって聞くからさ、君たちから共闘の願いが来たときは驚いたよ」
「まさかリオ君が否定してジニア君やエリカ君が許可出すなんて思ってもみなかったけど、最終的には彼、許可を出してくれて良かったかな、俺は」
「ふふっそうなんだね。とりあえず、作戦会議をしたいと思ってるんだけどさ、君たちの中で一番都合のいい日とかってある?」
「そうだな……」
「兄さん! 僕! ジニアちゃに会いたいですっ!」
コウモリの膝上に座っていたスズランは子供じみた言葉を言うと、ツバキはにこっと笑みを溢す。
「それは大丈夫だよ? スズランくん」
「んぇっ? それはどういうことですか? ツバキ」
「君はこの作戦に参加してくれたんだよね? だったら少しの共闘の間、ジニアくんに会えるよ」
ツバキのその言葉に目をキラキラと輝かせたスズランは、コウモリの膝の上でにこにこと笑みを溢していた。
「あはは、なんかごめんね? ツバキくん」
「いや、いいんだよ、気にしないでよ」
「とりあえず明日そっちに伺いたいんだけど、それでも大丈夫かな?」
「うんわかった! 警備員にもその旨伝えておくよ」
「助かるよ」
コウモリはそう言うと、スズランを持ち上げ地面に降ろす。降ろしたあとは椅子から離れ、立ち上がった。
「それじゃあこちらは準備を始めるよ」
コウモリがそう言った瞬間、ツバキはモニターを消した。
「ふぅ。これでよし。と」
コンコンと扉をノックする音が聞こえ、ツバキは「どうぞ」と声をかける。
「ツバキ、話は終わったのか?」
ユラは中に入りながらツバキに声をかける。
「あ、ユラ。うん、コウモリ君と話はついたよ」
「それはよかった、んで、いつコウモリは来るんだ?」
「明日」
「明日か、わかった。会議室の警備を強化しておこう」
ツバキはユラの言葉に頷き、ディルを執務室に呼ぶようにユラに指示した。
「ディル? 何故ディルを?」
「会議室の掃除を任せるんだよ」
「……あいつにそんな真似出来るのか?」
「ふふっ出来るさ。だってディルには、HONEYが居るからね」
口角をあげながらそう言うツバキに、手に持っていたバインダーでツバキの頭を叩いた。
「あんまりあいつを使うな、HONEYだって忙しいんだから」
「ぶぅ。それはわかってるんだけどさあ〜だってHONEYはディルのお世話係だし、丁度いいかなって」
ツバキのその言葉に深い溜息をつきながら「わかった。」と少し不服そうに執務室を出た。
「……ありがとう、ユラ」
執務室を出てしまったユラには聞こえないのにぽつりとお礼を言ったツバキは、執務室内にあるウォーターサーバーから水を汲み、机の上に置いた。
「これから魔族と戦うんだ……それまでに戦力を大きくしたかったんだけど、かなり厳しいかもな。リオ君たちは協力してくれるって言ってたけど、リオ君たちを入れても、ベリアル様に勝てるかどうか…………」
軽い溜息をつき、独り言のようにそう言ったツバキは、「これからどうしよう……」と頭を抱えた。
「何か思い詰めてるのか? ツバキ」
「うわっびっくりした……ユラ、急に部屋に入ってこないでよ」
「ははったまにあるだろ? こういうことは。いちいち驚くな」
「んまーそりゃそうなんだけどさ、急に声かけられるとびっくりするんだよね」
笑みを溢しながらそう言うとユラは「次からは気をつける」とぽつり。
「んで、どうしたんだ? 何か思い詰めているんだろ?」
「んーまあね、ほんとにベリアル様を倒せるのかなって、心配になっちゃって。俺とユラはベリアル様の目を覚まさせるためにここまで勢力を強くしてきた。それは、ベリアル様より強くなるため。でも、でもさ、ほんとに、ほんとに、俺たちは強くなってるのかなって……俺は、そう思ってて……」
暗い表情をしながらそう言ったツバキに対してユラは「大丈夫、大丈夫だから……お前はよくやってるさ。もし仮にお前がベリアル様に負けそうになったとき、俺が必ずお前をフォローする。ツバキ、お前のバックには俺がいるんだから」とツバキの頭を優しく撫でながら言う。
ツバキはユラのその言葉に優しく微笑んだ。
「うん、そうだよね。俺のバックには
「当たり前だろ? 俺らヒューマン一族と、吸血鬼。みんなの力を併せれば絶対、ベリアル様の目を覚まさせることができる。その為の同盟だろ?」
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