17話 コウモリ一派と共闘の話
ツバキはユラと一緒に執務室へと向かって歩く。執務室へと向かっている最中にリオたちとばったりと会った。
「ん、ツバキとユラ、ユウって女は大丈夫だったのか?」
「あぁ、ユウちゃん? うん、大丈夫だよ? ユラが守ってくれた」
「ふぅん」
「ジニアちゃん!! 私たち、とても心配していたのよ、ユウちゃんが連れて行かれたらどうしようって」
「エリカ!!!」
「あはは、とりあえずリオ君たち、俺たちについてきてくれるかな」
そう言ったツバキに3人はそのまま頷いた。
「ついてきて。って、何かやんのか?」
「サプライズ!? 私、サプライズ大好き!」
「……エリカ、それは流石に違うだろ」
「ははっサプライズか。まあお前らにとって“は”、サプライズみたいなものか」
「ほぉら〜! 2人共! ユラさんの言った言葉聞いた!? 私たちにサプライズだって!」
「「はいはい」」
エリカが元々サプライズ好きなのは知っていたが、リオとジニアは「サプライズ」の言葉に過剰に反応するエリカに呆れ、深い溜息をそのままついた。
執務室へと着き、ユラは執務室の扉を開ける。
「入れよ、客人」
ユラがそう言うと、3人はユラに言われるがままに執務室へと入った。3人が執務室へと入ったあと、次にツバキが入り、椅子に座った。
「とりあえず、君たちにまた執務室に来てもらったのは他でもなくてね、魔族のことなんだ」
「あぁ、さっきユウって女を攫いに来たヤツらのことか」
「そう。君たちにも魔族討伐の件、手伝ってもらいたいんだ」
「急に何を言い出すのかと思えば、お前らで魔族は倒せてたじゃねぇか。さっきも2人、退いてたし」
「あいつらは雑魚の一部だ、本命は……」
「……ベリアル様」
ツバキは俯きながらそう言う。ユラはツバキの方を見ながら悲しそうな表情で「そうだな」とツバキの頭をぽんぽんと軽く叩きながらそう言った。
「お前が一番ベリアル様を信頼し、尊敬していたんだもんな」
「うん、そうだね。……でも、仕方がないよ。ベリアル様にも色々と事情があったんだし、俺らがとやかく言う筋合いもない。でも知りたかったな、なんでベリアル様が悪魔に堕ちてしまったのか……」
「兎に角、ベリアルを倒すためにはコウモリの連中とお前らの力が必要不可欠なんだよ、それは分かってくれるな?」
「……そうは、言っても……なあ?」
ユラのその言葉にジニアは困惑しながらも、リオとエリカの顔を見合わせた。
「そうね、でも魔族は強いって噂だし、コウモリたちとの共闘もアリかもしれないわね」
「たしかになあ……」
「んー……」
「とりあえず共闘の考えには賛否両論あるだろうが、共闘の件、頭に入れておいてほしい」
「わかった」
「そうね」
リオは共闘の件に納得いかないようで、終始浮かない顔をしていた。
「なあ、聞きたいことがあるんだけどさ」
「どうした?」
「コウモリのヤツらと共闘するんだろ? だったら何も、俺たちである意味ないじゃん」
「……それはどういう意味?」
「お前らギルドのヤツらとコウモリの連中と共闘でもすりゃあいいじゃねぇかよ」
「それじゃあ駄目なんだよ。君たち吸血鬼の「特権」は俺たちの「魔法」より滅茶苦茶強いって聞くんだ。俺たちは、ユウちゃんを助けたいと思ってる」
「だから何だよ。」
「君たち吸血鬼の
机の真横に立ちリオたち3人に向けて頭を下ろすツバキにリオは「分かった、分かったよ。ヤツらと共闘な」と頭を掻きながらそう言う。
「! 助かるよ、ありがとう。リオ君」
「赤の他人の願い事を聞くなんてどうかしてるよ、俺は」
「んで、どうすんだ? ツバキ。客人の考えが合わさってコウモリのヤツらと共闘することになったが……」
「うん」
「実際はまだ、コウモリのヤツからの返事は貰えてないんだろ?」
「まあね〜まだ考えてる途中なのかな、こっちから無闇に連絡するのもイヤだし……うーん……」
「とりあえずアイツらから連絡来たらまた俺たちを呼んでくれ」
「うん分かった。ユラ、リオ君たちをスイートルームに」
ツバキのその言葉にユラは黙って頷いた。パタンと扉を閉めたあとジニアは口を開く。
「ギルドマスターも一般人に頭を下げることもあるんだな」
「そりゃあな、アイツなりのケジメなんだろ」
「ケジメなあ〜まあでもリオが反対意見出すなんて思いもしなかったよ俺は」
「すげえもやもやしてたんだ。でもツバキさんのあの言葉でそのもやもやが晴れた気がした、だから共闘を許可したんだ」
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