第7話 修羅場~幼馴染~

 ハーレム生活が始まってウザいこと。俺の時間が削られていくこと。それはまあいい。だがそれ以上にあたまにくることがある。


「導線ができないんですよぅ!」


「そ」


「真面目に聞いてよぉ」


「でもどうしようもないじゃん。みんな本気で付き合ってるからこそ匂わせしないんだよ。愛されてるじゃん」


「何のためのハーレムなのかわからなくなってきたぞぉ」


 本来は小説への導線を確保するためのものだった。なのにあいつら誰一人として俺の小説について呟いたり推し活してたりすることを匂わせさえしない。これじゃあなんで俺セックスしてるの?AV男優だってセックスして金もらってるんだよ?俺なんてあいつらとタダでセックスしてるんだけど。これじゃあ薄汚いヤリチンみたいじゃん。


「可愛い子とエッチできていいじゃん」


「元々セックスには困ってなかったんでありがたみが薄いです」


「えぐぅ!」


 最近の俺ときたら毎日誰かとセックスしてモラハラして褒めてのDV彼氏ムーブを機械的にこなす日々だ。たしかにあいつらはヴィジュとスタイルはとてもいい。S級女子たちだろう。だけど当初の目的が達成できていないことに鬱憤を感じる日々だ。その感情をあいつらにぶつけながらセックスする。わたしあいされてる!って勘違いが加速するからさらに悪循環だ。


「それより5pってどんな感じ?」


「え?唇と両手が乾く暇がなくてなんかぐちゃぐちゃ感あるし、今誰の穴に入ってるのかわかんなくてなんか混乱していまいちだった」


「やっぱりセックスは一対一が一番いいってことなんだね」


 複数プレイは駄目だ。あんなのは所詮ファンタジーでしかない。


「はあ結局どうしたらいいのやらねぇ。小説の導線…」


「業者に頼んだら?」


「それは負けた気持ちになるから嫌だ!俺は自然発生的な自分の力だけで自分の作品をバズらせるって決めてるんだ!」


「それでセックスするのってホストに貢ぐためにおぢをチュパるばかびっちちゃんたちとやってること変わんないって自覚ある?」


「いっしょにするなぁ!おれはあいつらと違って本気なんだよ!」


「ホストに貢ぐビッチたちも本気だと思うけどねぇ」


 とにもかくにも次の手段を考えないといけない。俺は必ず小説をバズらせる。だってそれは幼き日の誓いなんだから。








 家に帰る。今日は珍しくオフの日であり、だれも女が隣にいない。


「あーやっと好きなネタでオナニーできるぅ。幼馴染純愛もので抜かなきゃ」


 俺の趣味はエロマンガでオナニーすることである。小説を書くのは趣味ではなく業だ。早く抜きたいその一心で門をくぐる。そして気がついたドアの前に誰かがいることに。


「おい。お前…なんでいるんだよここに」


「会いに行くって連絡したでしょう」


 そこにいたのはかつての知り合い。俺の幼馴染。いや元幼馴染の影山初楽ういらだった。地雷系のスタイル。闇夜でも白さの際立つ肌。顔とスタイルだけは相変わらずムカつくくらいいい。だけど黒のカラコンで大きくしたハイライトのない瞳が気味が悪い。


「おれちゃんとブロックしたよね?それに言ったよね?二度と顔見せるなって」


「それより萌から聞いたよ。ハーレム作ったって。ひどいよ。私という者がありながら。当てつけ?」


「いいから消えてくんない?うぜえから」


「ちゃんと話し合いましょう。私本気だよ。ずっと。小さいころからずうっとあなただけ考えてる。最近株で当ててね。財産築いたよ。結婚生活を送ってもおつりが出てくるような額」


「別に金には困ってないけど」


「会社も作ったの。IT系でいろいろやってるわ。上場も近いの。社長にならない?社会的地位が得られるわ」


「どうでもいい」


「じゃあ何が欲しいの?言ってよ。ちゃんと用意してあげるから!」


「お前のいない世界」


「そんな意地悪言わないでよ。知ってる。小説でしょ。小さいころから作ってくれたお話聞かせてくれたよね。全部面白かった」


「お前のために作ってねえよ」


「私だって聞いてた!出版社にもコネあるよ。広告費もバンバン出せる。売ってあげる」


「それじゃ意味ないんだよ!!お前は相変わらず何もわかってない!」


「あなただってわかってない!あなたが小説書いているのは呪いでしょう!そんなののせいで私とあなたの関係はいまだに進まないのよ!ひどいよぅ」


 とうとうぽろぽろと泣き出す。鬱陶しいことこの上ない。


「我が身を振り返れよ。いまだにそのくそダサいカラコン人前じゃ外せないんだろ?」


「それは!あなたには私の過去で迷惑をかけたくないだけ!」


「迷惑なら今現在進行形でかけてる。お前の過去にはもう興味がない」


「救ってくれたじゃない私のことを」


「じゃあ好きなところ行けばいいじゃん」


「…わかった。あなたがかたくなだし、今でもまだ過去のこと引きずってるのが」


 ウイラは俺の横を通ってきっと俺を睨む。


「あなたの小説。全部否定してあげる」


 そしてウイラは去っていった。


「うぜえ。何しに来たんだよマジで地雷系キモ」


 俺は家に入る。そして幼馴染純愛童貞処女初エッチもので気持ちよくオナニーを決めたのだった。



---作者のひとり言---


コメントや星待ってるぜ!


あとゾンビモノも書いてるのでおもしろいから読んでくれ!

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