第6話 修羅場~ビッチ付き~
大学の学食にて萌とランチしているとき、俺は彼女に尋ねてみた。
「ねぇなんで女って一発やった後は自分からガンガン連絡入れてくるようになるの?」
カノハもハクアもエミカもみんなエッチした次の日からガンガン連絡入れてくるようになった。それまでは自分から連絡してくることなんてなかったのに。なおリノナは朝昼晩に必ず謎の祈祷文を連絡先を交換した後からひたすら入れてくるので例外っぽい。
「そうなの?私はエッチした相手もしてない相手も普通に連絡するし、無視するからわかんないなぁ」
こういうのをサバサバ系っていうのだろうか?
「それにさぁ。エッチした後は割り勘してくれるようになるじゃん?ラブホ代も食事も全部割り勘。なんで?」
「そうなの?私全部相手に奢らせるからわかんないなぁ。あとポイントも貰うし。優しいね」
普通にクズな意見が出てきて引いた。なおリノナは初回からデート代全額払ってくれてたので例外っぽい。
「そんでさぁ。いまだにSNSで匂わせしてくれないんだけどなんで?俺のことを炎上の劫火に放り込んでくれないのなんで?話題に出して小説への導線引っ張りたいのに」
「そうなの?それはあれだね。うーん。やっぱりあれかな?拓彌がカノジョたちの本命だからじゃない。迷惑かけたくないから周りには隠してるんでしょ」
「それ困るんだけどぉ」
「だから言ったじゃん。やめといた方が良いって。私のいうとおりになったじゃない」
「具体的な内容を先に言ってほしかったね」
結局女の勘なんて奴は当てずっぽうなのである。このまま俺の小説への導線ができないんじゃ精子の無駄撃ちである。
「でどうするの?セフレにするの?向こうは絶対に自分がカノジョだって思ってるよ」
「俺が欲しいの彼女じゃない。自分の小説が多くの人に読まれることだ!」
「すごいクズだな。あの子たちと付き合いたいって男の子いっぱいいるだろうにねぇ。じゃあこのまま四股続けたら?そしたらなんかの拍子にバレてネットにさらし上げられて炎上できるんじゃない?」
萌が今すごくいいこと言った!さすがくそビッチ!採用!
「わかった!今すぐ四股ばらしに行く!」
俺はすぐに席を立つ。
「え?まじ?修羅場?…ついていっていい?面白そう!」
「いいね!お前も来い!はでに打ち上げるぞ!ひゃっはー!!」
こうして四股バラし会を開くことになったのである。
場所は新宿の某カラオケ店。俺が読んだハクア、エミカ、カノハ、そしてリノナの四人ぷらす萌の五人とカラオケルームで会談となった。最初のうち四人は互いに首を傾げ合っていたが、状況を察したのかリノナ以外の顔が青くなった。
「実は黙っていたんだけど、俺は君たち相手に四股してたんだ」
そして俺は爆弾発言を投げかける。
「そんな!?」
「あんまりですわ!」
「ひどいです!」
俺はドヤ顔を決める。こうなればこっちのもの。彼女たちは怒りに我を忘れてSNSでポエムを垂れ流し、俺というクソ野郎を告発するだろう。燃えろ燃えろ!ひゃはー!
「流石神。信徒が他にもいたのですね!」
リノナだけなんか嬉しそう。こいつはなんかいろんな意味で規格外だ。
「だったらはっきりさせてよ!あたしと付き合うんでしょ!」
「わたくしでしょう!」
「わたしですよね!」
「我が神を求める女たちの声が心地いい…」
リノナのクズっぷりが際立つなぁ。俺はもしかしてヤバいやつに手を出したのかもしれないな。ハクアとエミカとカノハの三人は互いに睨みあう。いやいや。俺に憎しみをぶつけろよ。何でほかの女睨んでんだよ。
「あんたたちなんてどうせ推しとエッチして匂わせ呟きするようなビッチでしょ?!あたしはプロの声優よ!タクミとアーティスト同士共鳴し合ってるのよ!」
「はぁ?!わたくしをそんなことをするようなビッチ扱いしたんですの?!わたくしは企業案件も受けてるプロのモデル兼レイヤーですわ!それに実家も太くて家柄もいいのです!拓彌さまの創作活動をフルサポートする用意がありますわ!」
「はっ!二人とも何ほざいてるんですか!わたしなんて漫画家ですよ!たくみさんがストーリー。私がイラストを担当してそれこそシナジー発揮しまくりなんですけど!二人とも別にいらないんじゃないですかぁ!」
「神への信仰の違いで相争い合う。人はなんて醜いのでしょうか…」
女どもがぎゃぁぎゃぁ喧しい。ていうか俺のこと放っておくのなに?
「お前ら煩いんだけど。喧嘩やめてくんない?」
そう言うと四人が一斉にこっちをみた。
「酷いよタクミ!そっちのやつらと違ってあたし初めてだったのに!」
ん?今なんて言った?
「何をいけしゃあしゃあといってるんですの!わたくしだってはじめてでしたわ!」
あれぇ?
「私も初めてでした!」
おりょりょ?
「神に処女を捧げるのは当然のこと」
こいつはいいや。
「あーやっぱり違和感感じたんだよね。そういうことかぁ」
「どういうことだビッチマン!」
「私も気持ちはいつも処女だからね!わかるよ。うんうん。そりゃ初めての相手には執着しちゃうよね」
ビッチマン。3pまでやってる奴が気持ちは処女とか言っていいわけないだろ。そりゃ冒涜ってもんだ。
「さすがにタクミひどくなーい?四股はまあいいとしても処女を奪った相手をキャッチ&リリースは駄目でしょ。最後まで面倒見なきゃやさぐれたヤリマンに堕ちかねないよ」
「えーなにそれ?声優とレイヤーと漫画家とVの者が処女だと思うわけないだろ!四股かけて罪悪感感じさせるとか大概にしろよ!俺に軽率に処女をうばわせられてしまったことについて俺に謝れよ」
「うわぁモラハラすご。普通やった女の子が処女だったら男の子って喜ぶんじゃないの?」
萌が俺のことをまるでごみを見るような目で見ている。
「時と場合によるだろそんなもんはようぅ!」
炎上のためのエッチに処女性なんて求めてない。俺は頭を抱える。
「ねぇ誰を選ぶの!」
「誰を選ぶんですの!」
「誰なんですか!」
「神の愛は全能にして究極。誰にも降り注ぐ無償の恵み」
リノナがだんだん癒し系に見えてきた。てかそもそもなんで俺が責められるの?セックスって共同作業だよね?俺だけのせいじゃなくない?
「おまえらさぁ。いい加減にしろよ!お前らだって俺がお持ち帰りしたときに特に文句言わなかっただろ!それに付き合うって条件も付けてこなかったし!いまさら処女だったから付き合ってとか後だしじゃんけんじゃねぇか!!こっちの都合も考えろよ!処女だって知ってたらそれ相応に丁寧に扱ってやったさ!なのに自己申告なかったよね!え?なにそれともあとから駆け引きの材料にするためにとっておいたってこと?ないわー!あー裏切られたぁ!お前ら俺を責めるための機会伺ってたってことじゃん!マジでひどくね?!なんか悪いの俺みたいな空気出してきてさぁ!そういうのやめてもらっていいですかぁ?!」
「うあぁ。ひくわ。処女だったことを責める男とか初めて見たよ。逆ならいっぱい見たけど」
四人は俺の完璧なロジックにぐうの音も出ないようだ。プルプルと震えて涙目になっている。リノナ以外だが。
「あーあーまったくもうお前らのせいで俺四股しちゃったじゃん!余計な罪負ったんだけど!まじで苦しいんだけど!ねぇ!在り得ないんですけど!あやまってぇ!おまえらさぁ!言っておくけど人に傷つけられるより傷つける方が100倍心痛いんだからな!わかってんの?!」
「モラハラが止まらなねぇ。酒が進むぅ!」
萌は俺のことを見ながらケラケラ笑ってる。手には缶チューハイが握られていた。マジでクズビッチだ。
「神よ。よろしいでしょうか?」
「なに?ごめんなさいする気になった?」
「いえ。なぜ神が誰か一人を選ぶことを強いられなければならないのですか?神なのに?」
「お前は何を言ってるんだよ」
「神が信徒をいくら抱えても問題ないのでは?」
「お前が言っていることの意味が全く分からない」
俺は首を傾げた。だが萌はそれを聞いて両手をポンと叩いた。
「なるほど!その手があったか!」
「何がわかったの?ロクなもんじゃないんだろうけど」
「ハーレムで付き合えばいいじゃん。まあ異性を複数相手するエッチは大変だけどね」
さすが3p経験者。言ってることがリアルだしぶっ飛んでる。
「ここはさぁ喧嘩両成敗ってことでさぁ。みんなでタクミと付き合いなよ。それでよくない?案外楽しいんじゃないかな?」
いやぁ言ってることが意味わかんねぇ。
「はは。さすがにそんなの駄目だろ。なにいってんだか」
「いいわそれで」
「わたくしはかまいません」
「わたしもです!」
「信徒は多い方がいい」
「お前ら何言ってるの?!」
四人は覚悟を決めたような顔をしている。なんか俺だけ置いてきぼりなんだけど?
「選ばれないくらいなら!他の人と一緒でもいい!」
「処女を捧げた相手に尽くすのが女の道ですわ」
「愛されるならそれでかまいません!」
「神の愛は無限!」
「あ。男女の違いを感じてきた。俺だったらハーレムメンバーだったら他の男絶対ぶっ殺すけどな」
なんか各々の妥協でハーレム関係が出来上がったらしい。なんなのこれ?
「良かったねえおめでとう!皆の門出に立ち会えて嬉しいよ!」
「焚きつけた本人がくそ無責任なんだけど…?!」
このビッチマン。俺のことを酒の肴にしてやがる。
「じゃあこのままみんなで仲直りエッチしてきなよ。燃えるよー。喧嘩した後のエッチってすごく気持ちいいよー」
四人はごくりと唾を飲み込んだ。そして四人は俺の両手両足を掴んで外へと運び出していく。振りほどけない?!
「や、やめろぉ!けんかの後のセックスは癖になるからやめるんだ!そのうちわざと喧嘩し始めるくらいヤバいんだ!だからやめよ?ね?ね?」
だけど四人は俺を無視した。そしてそのまま歌舞伎町の裏通りにあるラブホに俺はお持ち帰りされて四人にマワされてしまったのである。
タイトル:会いに来ました。
本文:お願いだからドアを開けてくれませんか?あの?もしかして家にいない?…出直します。
例によってDMはブロックしたのであった。
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