第3話 オフパコ~ビッチを添えて~③~

 セクキャバ。それはセクハラが出来るキャバクラである。俺たちは席に通されて女の子が来るのを待つ。


「「よろしくおねがいしまーす!」」


「きゃーよろしくぅ!」


「うっす」


 ダボダボのシャツを羽織った女の子たちが俺たちの隣に座る。


「おっぱいおっきいね!いくつ?!」


「Iカップです」


「あいしてるのあい!」


 萌はすでにテンション高い。女の子の手をにぎにぎしながらおっぱいを凝視している。女体好きの女ってけっこうな割合で存在しているから世の中は広い。


「乗っかっていいですか?」


「うぇるかーむ」


 萌の膝の上にセクキャバ嬢が跨る。そして二人は手をつなぎながらお話を始める。


「ねぇねぇお兄さん。あの子綺麗だけど、彼女さん?」


「彼女のわけないじゃん。幼馴染だよ」


「え?それってあれですか?プレイの設定ですか?」


 俺についた嬢は萌を見ながら困惑している。


「とりあえず俺にも跨ってよ」


「はーい。失礼しまーす」


 そう言って嬢は俺の膝に跨り俺たちは向かい合う。すると嬢はキスをしようとしてきた。だけど俺は嬢の唇に人差し指を当ててそれを止める。


「すまないがキスはNGで」


「えー?みんなしたがるよ。おぢとか」


「キスは女の子にしてもらうものじゃない。女の子を墜とすときに使うんだ」


 今俺いいこと言った。だけど萌は俺を見て鼻で笑った。


「ぷっ!キス顔晒す勇気がないだけでしょ。見ててキスはこうやる!」


 そう言って萌は嬢とキスを始める。それだけじゃない。萌は服の中に手を入れて相手のおっぱいをいじいじしていた。


「うわぁ!すごくえっち!お姉さんキス上手」


「ふっ」


 萌のドヤ顔がうざい。だけど僕も興奮しました。俺も女の子にセクハラをする。


「え?きゃ?!はぁはぁ。やば。まじでがちのがちでお兄さん上手いんだけど」


 百戦錬磨のヤリマンどもを相手に磨いたテクである。そこらの女なんていちころである。


「拓彌は私が育てた」


「お前とやったことが一回もねぇよ」


「でも私の友達とはほとんどヤったよね」


「仕方ねぇだろ!出会いがなかったんだから!お前の友達くらいしか知ってる奴いなかったんだよ!」


 俺の青春時代は暗黒である。萌のお友達はみんなビッチである。俺はそいつらとつかず離れずの距離でセフレ君として生きてきた。だから童貞ではないけどまともな交際経験はなかったりする。


「あー。友達みんな幼馴染に寝取られた私めっちゃかわいそう。お姉さん癒してー」


 そう言って萌は嬢の大きなおっぱいに顔をうずめる。そしてしばらくそのまま何もしゃべらなかった。


「しぬぅ。マジで死んだ。天国いってきた。まじおっぱい」


 萌はガチでセクキャバを俺以上に頼んでいた。


「お姉さんドリンク頼んでいいですか?」


「いいよ!ね!拓彌」


「何俺に集ろうとしてるの?」


「きこえなーい。ききたくなーい」


 結局ドリンクは押し切られた。そして女の子が交代して。またドリンク奢って店を愉しみつくして外へ出た。


「一番目についた子のおっぱいが最高だった。でも顔は二番目がよかったね」


「感想ががちおぢっぽくて笑える」


 そしてそろそろ夜が明け始めていた。始発の時間まで居酒屋でダラダラと過ごすことにした。


「アドレスゲットした四人ってもしかして本買ってくれた子たち?」


「そうだよ。それがどかした?」


「うーん。いや。なんだろうね。やめておいた方が良いかも?」


「なんで?」


 自分は男漁り激しいくせに、俺の女漁りに文句つけてくるの正直に言って腹が立ったないわけでもない。


「えーっと。そう。たぶんめんどくさいと思うから」


「はぁ?え?なに?お前調子乗ってる?めんどくさくない女なんてこの世にはいないよ」


「それはそうだけど、あーまあ失敗も経験だから!たまにはこけちゃってもいいんじゃないかな!」


 グッジョブしながら萌はそう言った。でもこういうこと言われるの初めてなんだよな。油断はしないでおくべきだろう。相手を墜とすことに油断はしない。そして俺たちは始発で家に帰った。幼馴染だけあって最寄りの駅も一緒である。


「じゃ。ここで。またねー」


「またな」


 俺たちは途中の道で分かれた。幼馴染だけど別に隣に住んでいるわけじゃない。そう。俺たちの道はもうとっくの昔に別れていた。だから今も一緒にいるのはきっと。





 まず最初のデートの相手はコスプレイヤーさんだった。名前を纐纈花乃葉かのはという。これが本名だ。というかSNSとかではなくて本名で連絡先を渡してきた。なんか今どき感がない。場所は秋葉原である。


「あれ?どこだろう?」


 待ち合わせ場所には人が多かったけど纐纈の姿はなかった。だけど一人すごく視線を浴びている女の子がいた。和服を着たすごく美人な外国人の女がいた。くっきりした顔立ちはラテン系っぽい感じがする。瞳は鮮やかな緑色で黒髪によく映えていた。俺も珍しくてちょっと不躾な目で見てしまったと思う。だけど女はそんな俺と目が合うと微笑んでこちらへと優雅な足取りでやってきた。


「改めてお会いしますね。わたくしが纐纈花乃葉です。カノハでけっこうですわ」


 外国人さんからお嬢様言葉が出てくると違和感半端ない。


「おおう。タクミです。アラタカナタでもあります。レイヤーって化粧落とすと現実帰るけど、君はレイヤーしてないときの方が美人なんだな」


「ありがとうございます。正直にもうしあげるとブラジル人の母に似たこの顔は苦手なのですが、あなたにそう言っていただける嬉しいですわ」


「へぇ。そうなの。じゃあ行こうか」


 俺は出来るだけ自然に相手の左手を取る。浅い握りで相手の反応を確かめる。ここで拒絶されるか否か。もう攻略ははじまっているのだ。


「あ…はい!」


 相手は浅くだけど握り返してくれた。頬は少し赤く染まっている。反応は上々。いい滑り出しを切れた。


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