第62話 賢者の選択

■エリの怒り


ブラン:…芝居か?


ブラン:…仲間割れか?


エリ:私たちの目的は…


エリ:収容所の解放だ!


エリ:もうこれ以上…待てない!


エリのオーラが更に膨れ上がる。


ブラン:心を読んでも…


ブラン:本気のようだな…


ブラン:予見を…


ブラン:なるほど…


チビ:ま…待て!!


エリ:しゃべるな!!


エリはチビの腹めがけて、思いっ切り拳を入れた。


ブラン:…人質か…


チビ:ぐはっ!!


チビ:ぐぁがが…痛だだ…


チビ:ハァハァ……


エリ:私は本気よ…チビ!


エリ:もうあんたのことなんか…


エリ:どうだっていいわ…


エリ:賢者ブラン!これは人質よ!


エリ:この人質を生かすも殺すも…


エリ:あなた次第よ!


ブラン:…面白い!!


ブラン:王女エリ!


ブラン:そなたにそんな度胸があるとは…


ブラン:思ってもいなかったわ…


エリ:…度胸?…度胸なんかないわよ


エリ:この霊能者は最初から仲間じゃない!


エリ:ただの交渉の鍵よ!


エリ:私たちには時間がないの!


エリ:この祭典中にケリをつけないと、せっかくのチャンスが台無しよ!


エリ:もう手段は選ばない、強引にいく!


ブラン:フン…最初から…


ブラン:そうしていればいいものを…


ブラン:お前の本気は…わかったわ…


エリ:この霊能者と収容所の解放が取引よ!


エリ:あなたが決めなさい!賢者ブラン!


ブラン:フン…面白い…


ブラン:私を試そうとしているのね…


ブラン:……


ブラン:いいわ…乗ってあげる…


■選択の終わり


ナビ:絶体絶命のハジメたちに賢者ブランはどう答えるのか


・賢者の選択


賢者ブランは自ら選択をする。


ブラン:今の私の選択肢は…


ブラン:輪廻転生の秘術を取るか取らないかね…


ブラン:輪廻転生の秘術を取るのだったら霊能者に死なれるわけにはいかない…


ブラン:輪廻転生の秘術を取らないのであれば…霊能者は放置でいい


ブラン:奴らにとっての最悪のパターンは収容所の解放に失敗し……


ブラン:霊能者が死ぬこと…


ブラン:あとは残ったハジメとエリを拘束し…


ブラン:この一件も無事に終わる


ブラン:どう考えてもこれが…奴らにとっての最悪なパターンね…


ブラン:いいわ…さっさとこれで終わらせましょ


ブラン:輪廻転生の秘術は…この世界には必要ないわ!


ブラン:あとはこの日記を燃やして全ては終わる…


ブラン:……


ブラン:でも…輪廻転生の夢はどうするの?


ブラン:せっかく掴んだチャンスを


ブラン:ここで手放してもいいのか?


ブラン:…賢者ブラン


ブラン:……


ブラン:収容所の解放はまた30名…いや50名ほど…


ブラン:見せしめの者だけでいいわ…


ブラン:まずは…様子を見るとするか…


ブラン:奴らの恐怖にひきつった顔も見たいし…


ブラン:この虫ケラ共をいたぶり尽くしてやるわ…


ブラン:もっと、もっとよ!


ブラン:私の仕事を楽しみましょ…ブラン…


■運命の選択


ブランの怒りが鎮まり、張り詰めた空気と…空間の緊張感がなくなった。


ブラン:いいわ…エリ…


ブラン:そなたの要望を聞きましょう…


ブラン:収容所の人間を解放するから…


ブラン:そなたも…


ブラン:その霊能者を解放しなさい!!


エリ:ニタァ…


ハジメ:…


チビ:ニチャ…


チビ:今じゃあああ!ハジメえええ!!


ハジメ:よっ!


一瞬の刹那、一瞬の出来事だった。


この時の状況を、ブランは走馬灯のような時間の流れの中で、この光景が目に映ったと語った。


チビの掛け声と共に次元の歪みが創造され、次元の渦から覚醒ハジメが飛び出した。


ハジメ:待たせたな!


ブラン:……!


・賢者の誤算


ブラン:な…な…


ハジメ:これでラストだな


ハジメ:じゃーな!ブラン!


覚醒ハジメは一瞬で次元の歪みを創造し、三人を吸い込んで消えていった。


次元の歪みは消え、辺りに静寂な時が流れる。


ブラン:な…な…


ブラン:な…なんだ…


ブラン:な…何が起こった…


ブラン:だ…誰だ…


ブラン:ど…どういう…


ブラン:な…な…なんだ今のは!?


ブラン:白い髪の奴は…


ブラン:な…何者だ…


ブラン:……


ブラン:は…ハジメか!?


ブラン:い…いや…ハジメではないはずだ…


ブラン:な…なぜだ…


ブラン:なぜ、目の前に誰もいないんだあああ!!


ブラン:奴らは…あのゴミ共はあああ!


ブラン:どこだあああああ!


ブラン:どこに消えたあああああ!!


ブラン:ハァハァ…クッ…


ブラン:理解が…追いつかん…


ルージュ:ブ………様!


ルージュ:ブ…ブ……様!


ルージュ:ブ…ブラン様!!


ブラン:な…なんだ!?


ブラン:ルージュか…?


ブランはやっとルージュの存在に気づいた。


ブラン:…フン…


ブラン:…何度も騒がしい…何だ?


ブラン:…要件は何?ルージュよ…


ルージュ:ぶ…ブラン様!しゅ、しゅ…


ルージュ:しゅ…収容所が…


ルージュ:収容所が…ありません!!


ルージュ:収容所が消えています!!


ブラン:……


ブラン:……!?


ブラン:な…なにいいい!!


ひとり、取り残された賢者ブラン。


彼女の目の前でハジメたち三人は消えていった。


目の前で消えた三人に、消えた収容所。


彼女の知らぬ間に、一体何が起こったのか…。


ブランの選択は決して間違ってはいなかった。


ただ、それ以上にハジメたちの作戦が上回っていただけの話である。


次回は衝撃の展開!


つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る