第45話 同化した想い

■タマの支え


異次元から目覚めたハジメは、タマの優しい眼差しを感じる。


ハジメ:…っ…


タマ:起きてみゃああ!


タマ:ハジメ!起きてみゃああ!


ハジメ:た…タマ…?


ハジメ:こ…ここは…?


タマ:ハジメええ!!


エリ:ハジメさああん!!


タマ:よかったみゃああ!


エリ:よかったね!タマさん!


ハジメ:くっ…あれ?


ハジメ:…お腹は無事だ


ハジメ:あれは…夢だったのか?


タマ:ハジメが起きないから…


タマ:オラ…死んだかと思ったみゃああ


エリ:もう、タマさんは早とちりなんだから!


エリ:でも…本当によかった…


ハジメ:あ…あれ?


ハジメ:…変身が解けている?


ハジメ:力が…なくなっ…


ハジメ:んっ…!?


ハジメは自分の右手を見つめ、右手に力を込めた。


すると溢れんばかりのエネルギーが満ちていくのがわかる。


タマ:どうしたみゃ?


エリ:もう…心配したんですからね!


ハジメ:こ…これは…


ハジメ:俺に…こんな力が!?


ハジメ:チカラが…力が溢れている!!


・タマの想い


タマ:みゃ?


エリ:えっ?


タマ:……


タマ:…ハジメ…


タマ:右手をオラの前に…


ハジメ:……?


ハジメ:どうしたんだ?タマ


タマ:いいから早く!


ハジメ:お…おう…


ハジメはエネルギーに満ちたその右手をタマに差し出した。


タマは両の前足で彼の右手を握りしめる。その瞬間、ハジメとタマは温かい光に包まれた。


ハジメ:えっ?…タマ?


ハジメ:これは…?


タマ:ありがとう…


タマ:ハジメ…君と暮らせて…


タマ:オラは幸せだったみゃ…


ハジメ:なっ!何言ってんだ、タマ?


タマ:ハジメ…


タマ:…オラの役目は…


タマ:…ここまでみゃ…


ハジメ:はああ?


ハジメ:何言ってんだ、お前!!


タマ:もう…時間がないみゃ…


タマ:オラはみんなの元へ…


タマ:一足先に戻るみゃ…


ハジメ:ちょ…ちょっと待て…


ハジメ:お前の言ってる意味がわかんねえーよ!!


タマ:君には黙っていたけど…


タマ:これは仮の姿だみゃ…


タマ:本当のオラは収容所にいるみゃ…


ハジメ:何言ってんだ、お前!


ハジメ:お前はタマだろ?タマはタマだ!


タマ:オラはこの分身を使って…


タマ:ずっと…オラたちを救ってくれる…


タマ:救世主を探していたんだ…


ハジメ:救世主?んなもん知るか!


ハジメ:お前はタマだ!


ハジメ:意味わかんねーこと言ってんじゃねえ!!


タマ:時が来たら…


タマ:このオラの力と天球を、救世主に託す…


タマ:それがオラの「使命」だみゃ…


タマ:この天球を…


タマ:受け取ってくれみゃ…ハジメ!


ハジメ:そんなもん、誰が受け取るか!


ハジメ:やめろ、やめろ、やめろおお!


ハジメ:俺は救世主なんかじゃねええ!


ハジメ:救世主はお前だああ!タマああ!


タマ:本当に…ありがとう…


タマ:エリみゃんを…よろしくにゃ…


タマ:オラは…収容所で…


タマ:救世主を…待っている…にゃ…


タマ:じゃ…あ…にゃ…はじ…


ハジメ:やめろおおお!!


ハジメ:いくなあああ!!


ハジメ:タマあああああ…


タマの最後の言葉の後、彼女は温かい光に包まれて消えてしまった。


ハジメの右手には小さな天球とタマの温もりが残る。


タマはハジメの魂の旅を見守り、ずっと支えてくれていた。


ハジメはタマの存在に感謝し、彼女がどれだけ自分にとって大切な存在であるかを再認識する。


■自己の終わり


ナビ:タマのいない世界でハジメとエリは何を思うのか


・新たな視点


自己発見の旅とタマの想いを経て、ハジメは自分自身に対する新たな視点を得る。


彼は自分の魂の本質を理解し、過去の出来事や感情を受け入れることができるようになる。


タマが放った温かな光は次第に消えていった。


エリ:凄く…温かな光…


エリ:あ…あれ?


エリ:た…タマさん…どこへ行ったの?


エリ:えっ…誰?


エリ:は…ハジメさん?


ハジメ:タマは最後まで俺のことを見ていた…なのに俺は…


ハジメ:俺は…タマに何をしてあげた?


エリ:ハジメさん…よね?


ハジメ:タマの記憶、タマの想いが…俺の記憶と同化する…


ハジメ:タマが…収容所で待っている!


エリ:えっ?タマさんが?


ハジメ:ああ…そうだ


ハジメ:タマの言う救世主に…


ハジメ:俺は…なれるのだろうか…


エリ:救世主…?


ハジメ:もっと、もっとだ…


ハジメ:俺は強くならないと!


エリ:……


エリ:私も強くならないと!


ハジメ:タマ…次に会うときは…俺は救世主だ!


ハジメ:タマが言う救世主に…俺はなる!!


タマの想いを継ぎ、自己の本質を見つけたハジメ。


彼はより強く、そしてより確信を持って未来に向かって歩む決意を固める。


タマの言う「救世主」になるための冒険はつづく。


・新たなスタート


ハジメは自己発見の旅を通じて、強さを知り、別れを知った。


彼とタマが感じた過去の経験や試練が、すべて自分を形作る要素であることを理解する。


エリと共に、新たなスタートを切るための一歩を踏み出す。


ハジメ:よし!予知の能力は使えるな…


ハジメ:なるほどな…


ハジメ:夢の世界では祭典期間なのか…


ハジメ:時間がないとはこのことだったんだな


エリ:何かの祭典ですか?


ハジメ:ああ、なんでも神の地の発展を願う祭典らしい…


エリ:神の地の発展?


ハジメ:政府とお役人共の会合だ…


ハジメ:これなら収容所の警備も手薄になる!


ハジメ:今は千載一遇のチャンスってわけか…


ハジメは念を込め未来を読む。


数時間先の未来が見えたようだ。


ハジメ:これからの冒険に俺の力が及ばないかもしれない


ハジメ:でも今はそんな弱音を吐いている場合じゃないんだ


ハジメ:とにかく今は時間が無い…


ハジメ:タマたちを助けることが何よりも先決だ


ハジメ:まずは収容所に行って、囚われている仲間たちを解放する


ハジメは右手を前方に構え念じる。


周囲の空間が歪み次元の扉が現れた。


ハジメ:行こう!エリ


ハジメ:タマたちが待っている!


エリ:はい!


エリ:私も強くなりたい!


彼らの冒険は続き、さらに深い自己理解と成長が待ち受けている。


つづく。

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