第40話 エリとの出会い

■運命の出会い


喫茶店の中で、ハジメは一人の女性と目が合う。


タマ:あそこだにゃ!


ハジメ:あ、どうも…


エリ:…こ、こんにちは!


ハジメ:こ…こんにちは!


ハジメ:なっ…なんだ!この感覚は!


エリ:…は、はじめまして!


その瞬間、胸の奥底で何かが弾けるような感覚が走る。


・エリとの出会い


彼女は前世で深い関係にあった人物、エリ王女の後世だった。


ハジメが探すべき人物のひとりがそこに座っていた。


ハジメ:ま…まじか…


タマ:はやくみゃ!


ハジメ:あなたは、まさか…


ハジメ:前世の俺が言っていた…王女じゃ!?


エリ:…王女?ですか?


タマ:ちがうみゃ!


ハジメ:ああ…すいません!


ハジメ:今のは忘れてください!えっと…


ハジメ:俺はあなたのことを知っていて…


エリ:えっ!?私のことを…


タマ:ちがうみゃ!


タマ:それじゃ、ストーカーみゃ


タマ:もっと自然に話すみゃ!


ハジメ:ああ、ごめんタマ…じゃ…


ハジメ:今日はとても良い天気ですね!王女さま…


タマ:今は王女のことは忘れるみゃ!


エリ:うふふ…


ハジメ:そうだった…どうしよう…


ハジメ:イテテ…


ハジメ:お腹が痛くなってきた…


人見知りでもないのに急に言葉がでないハジメ。


彼はここぞという場面に弱いことが判明した。


エリ:あなたのことは…よくわからないけど…


エリ:悪い人じゃ…ないみたいですね


タマ:そうみゃ!ハジメは悪いひとではないみゃ!


ハジメ:すいません…なんて伝えればいいのか分からなくて…


ハジメ:ただ、どうしても俺はあなたに会わないといけないんです!


ハジメ:うまく…言葉にはできないけども…


エリ:…いいんです…


エリ:…無理に話さなくても…


エリは静かにハジメの右手を両手で握りしめた。


エリ:…ゆっくりと深呼吸をしてくださいね!


エリ:…私は待ちますから…


ハジメ:こっこれは…


タマ:こっこれみゃ…


ハジメ:王女さまや~


タマ:王女さまみゃ~


エリ:うふふ…


エリ:いいんですよ…


ハジメ:あったけぇ…


タマ:オラの肉球も握ってほしいみゃ…


ハジメとタマは、なぜ王女に人望があるのか、わかった気がした。


二人は互いに引き寄せられるように会話を始める。


■運命


ナビ:ハジメは運命に導かれる


・前世の記憶の断片


会話が進むうちに、ハジメは断片的な前世の記憶が蘇ってくる。


エリも同じように、過去の出来事を思い出し始める。


ハジメはこれまでの経緯を初対面のエリにこと細かく伝えた。


ハジメ:…ってなわけなんです!


タマ:ハジメはあなたを探していたみゃ!


エリ:…そんなことが…


ハジメ:変な話ですが、あなたも何か…


ハジメ:…知っているんじゃないかと思って


タマ:でも彼女は現実の人だみゃ!


タマ:王女であっても「王女本人」ではないみゃ!


エリ:なるほど…


ハジメ:それは、わかっているんだ…タマ


ハジメ:でも俺の記憶の何かが彼女に訴えかけているんだ


ハジメ:言葉にできない何かを…


エリ:じつは…私も最近…


エリ:不思議な夢を見たことがあって…


ハジメ:えっ!どんなことですか!?


タマ:おしえてみゃ!


エリ:不思議な夢は…


エリ:見たことが無い世界で…


エリ:大勢のひとたちと一緒に…


エリ:何か大きな球状の機械のようなものの中に…


エリ:吸い込まれて…


ハジメ:待ってください!


ハジメ:球状の機械…


ハジメ:…それ、俺も知っています!


エリ:ええっ?…


タマ:ほんとかみゃ!?


エリの話す夢の中の球状の機械を知っているハジメ。


二人は前世で友人であり、共に大きな使命を果たそうとしていたことが判明する。


・過去の因縁


ハジメとエリは前世で果たせなかった使命が現世に持ち越されていることに気づく。


二人は共に過去の因縁を解きほぐし、前世での未完の仕事を現世で果たす決意を固める。


ハジメ:球状の機械はたぶん…共通の敵でしょう


ハジメ:エリさんと俺は同じ夢を見ていると思います…


タマ:ハジメも知ってるみゃか?


エリ:ええ、そうなんですか?


ハジメ:前世の記憶が確かなら、ほぼ同じ夢だと思います


エリ:何か巨大な施設とたくさんの人が集まって…


エリ:そこで働いているような…


エリ:あとは…荒廃した土地で私たちは…畑を耕し農作物を…


エリ:え~っと…


ハジメ:話の途中ですいません!


ハジメ:それは俺も知っています…


ハジメ:ここからは俺の勝手な憶測ですが…


エリ:…はい


ハジメ:エリさん…あなたの夢に…


ハジメ:やたら親しく話す俺に似た中年の男性がでてきませんか?


エリ:大勢のひとたちに囲まれて…


エリ:いつも元気よく私をかばってくれる男性…


エリ:そして私の手を引っ張てくれる男性が…


ハジメ:それはほぼ…俺の前世の記憶と被りますね…


ハジメ:やはり…エリさんの夢と俺の夢は同じものだ…


エリ:ただ…私たちが球体に吸い込まれたときに…


エリ:夢の中の私が言っていたの…


エリ:その彼の…敵討ちだって…


タマ:みゃんだって…


ハジメ:……!?


ハジメ:やっぱり…あの夢には続きがあったのか…


【前世の俺との回想】


”前世の俺は言っていた…。


前世の俺:俺の命はそう長くない…頼む…


前世の俺:王女を守ってやってくれ…”


ハジメ:彼の身に何かあったのだろう…


タマ:そんみゃ…


エリ:えっ……


ハジメ:やはり…前世の俺は…


ハジメ:本気で俺に助けを…


ハジメ:…なのに俺は…俺は…


ハジメ:…くそっ!!


タマ:大丈夫かみゃ…ハジメ


エリ:…ハジメさん


ハジメの周囲に突然、風が発生する…。


つづく。

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